レイボー ® (ラスミジタンコハク酸塩)
以下は適正使用情報として、本邦における承認事項(用法・用量、適応、剤形など)以外の情報が含まれる場合がございます。薬剤の使用に際しては、製品情報ページにある最新の電子化された添付文書をご確認ください。
レイボー(ラスミジタン)とP糖蛋白(P-gp)の基質となる薬剤の併用は可能か?併用時の注意点は?
ラスミジタンとP糖蛋白(P-gp)の基質となる薬剤の併用は可能ですが、添付文書上、ラスミジタンはP-gpを阻害する薬剤であり、ジゴキシン等の治療域の狭いP-gpの基質となる薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があることから、これらの薬剤は併用注意に設定されています。
[解説]
ラスミジタンとP糖蛋白(P-gp)の基質となる薬剤の併用は可能ですが、電子添文上、ラスミジタンはP-gpを阻害する薬剤であり、ジゴキシン等の治療域の狭いP-gpの基質となる薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があることから、これらの薬剤は併用注意に設定されています1)。
<併用注意の設定理由>
薬物相互作用を評価する臨床試験(LAIO試験)2)では、P-gpの基質であるダビガトランエテキシラート150 mg及びラスミジタン200 mgを併用投与後、ダビガトランエテキシラートの単独投与後と比較してダビガトランエテキシラートのCmax及びAUC(0-∞)は、それぞれ22%及び25%増加しました1)。
このことから、ラスミジタンがP-gpの弱い阻害剤3)であることが示唆されています。
弱い影響ではあるもののラスミジタンは治療域が狭い薬剤(ジゴキシン等)との併用については注意が必要と考え、併用注意1)としています。
<治療域の狭いP-gpの基質となる薬剤>
ご参考までに、治療域の狭いP-gpの基質となる薬剤例を以下に示します。併用される際には併用薬剤の添付文書もご確認ください。
免疫抑制剤:シクロスポリン4)、タクロリムス4)、シロリムス5)
抗悪性腫瘍剤:エベロリムス6)
不整脈治療剤:ジゴキシン4)、キニジン4)
なお、ダビガトランエテキシラートは治療域が狭い薬剤ではないことから、電子添文上の併用注意として注意喚起が必要な薬剤としておりません。
<参考情報>
臨床試験におけるP-gpの基質となる薬剤の使用の有無別の有害事象(TEAE)の発現割合は、外国第II相試験及び外国第III相試験(SPARTAN[LAHK]試験・SAMURAI[LAHJ]試験・GLADIATOR[LAHL]試験・LAHO試験)のラスミジタン群併合解析では、併用あり 57.9%、併用なし 50.1%でした。また、国内第II相試験(MONONOFU[LAIH]試験)では、併用あり 65.0%、併用なし 71.1%でした。詳細は以下のとおりです7)。
表1)ラスミジタンとP-gpの基質との併用の有無別のTEAEの発現割合(安全性解析対象集団)(LAHJ試験・LAHK試験・LAHL試験・LAHO試験、LAIH試験)7)
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外国第II相試験及び外国第III相試験のラスミジタン群 |
国内第II相試験(MONONOFU[LAIH]試験)のラスミジタン群 |
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併用あり (114例) |
併用なし (4014例) |
併用あり (20例) |
併用なし (457例) |
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TEAE |
57.9%(66例) |
50.1%(2013例) |
65.0%(13例) |
71.1%(325例) |
軽度 |
28.1%(32例) |
23.4%(940例) |
60.0%(12例) |
61.9%(283例) |
中等度 |
27.2%(31例) |
21.0%(843例) |
5.0%(1例) |
9.0%(41例) |
重度 |
2.6%(3例) |
5.7%(230例) |
0%(0例) |
0.2%(1例) |
《有害事象・副作用の定義》
有害事象(TEAE) |
治験薬投与後48時間以内の有害事象。 |
重篤な有害事象(TE-SAE) |
治験薬投与後48時間以内の重篤な有害事象。 |
有害事象(AE) |
割り付け後、試験完了までの期間のすべての有害事象。 |
副作用 |
因果関係の否定できない治験薬投与後48時間以内の有害事象。 |
[引用元]
A Study of Lasmiditan in Healthy Volunteers. ClinicalTRials.gov identifer: NCT04749914. Updated February 1st, 2024.(最終アクセス日:2025年8月4日)
Study Details | A Study of Lasmiditan in Healthy Volunteers | ClinicalTrials.gov
平成30年7月23日薬生薬審発0723第4号「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」について(独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ)(最終アクセス日:2025年8月4日)
Endres, C. J., Hsiao, P., Chung, F. S., Unadkat, J. J., : The role of transporters in drug interactions. Eur J Pharm Sci. 27(5). 501-517, 2006
Zimmaerman J. J. : Exposure-response relationships and drug interactions of sirolimus. AAPS J, 6(4): e28, 2004
エベロリムス添付文書2024年6月改訂版
レイボー審査報告書 p41-42
[略語]
P-gp = P-糖タンパク質
最終更新日: August 2025
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