マンジャロ ® (チルゼパチド)
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マンジャロ(チルゼパチド)は投与量によって有効性は異なるのか?
承認時第III相臨床試験において、主要評価時点(投与40週又は52週時)のHbA1c、空腹時血糖値、体重(参考情報)は、いずれのチルゼパチド群でもベースライン から低下し、その変化量はプラセボ群又はデュラグルチド0.75 mg群と比較して統計学的に有意に大きくなりました。
[解説]
国内第III相試験(GPGO試験[SURPASS J-mono]、GPGP試験[SURPASS J-comb])及び国際共同第III相試験(GPGK試験[SURPASS-1]、GPGI試験[SURPASS-5])において、主要評価時点(投与40週又は52週時)のHbA1c、空腹時血糖値、及び体重は、いずれのチルゼパチド群でもベースラインから低下し、その変化量はプラセボ群(GPGK試験、GPGI試験)又はデュラグルチド0.75 mg群(GPGO試験)と比較して統計学的に有意に大きくなりました(いずれもp<0.001*)1) 2) 3)。
*各試験の主要/副次評価項目は末尾の試験概要を参照
各用量におけるHbA1c、空腹時血糖値、体重のベースラインからの変化量は以下のとおり(図1、2、3)です。
≪HbA1cのベースラインからの変化量の範囲≫1)
・チルゼパチド5 mg群:-1.87%(GPGK試験、投与40週時)から-2.57%(GPGP試験、投与52週時)
・チルゼパチド10 mg群:-1.89%(GPGK試験、投与40週時)から-2.98%(GPGP試験、投与52週時)
・チルゼパチド15 mg群:-2.07%(GPGK試験、投与40週時)から-3.02%(GPGP試験、投与52週時)
図1)HbA1cのベースラインから主要評価時点までの変化量(mITT集団、EAS)1)
有効性Estimand:MMRM解析、mITT解析対象集団、データは最小二乗平均を示す。
***p<0.001 vs プラセボ群(GPGK試験及びGPGI試験)又はデュラグルチド0.75 mg群(GPGO試験)
≪空腹時血糖値のベースラインからの変化量の範囲≫2)
・チルゼパチド5 mg群:-43.6 mg/dL(GPGK試験、投与40週時)から-61.4 mg/dL(GPGI試験、投与40週時)
・チルゼパチド10 mg群:-45.9 mg/dL(GPGK試験、投与40週時)から-71.2 mg/dL(GPGP試験、投与52週時)
・チルゼパチド15 mg群:-49.3 mg/dL(GPGK試験、投与40週時)から-74.4 mg/dL(GPGP試験、投与52週時)
図2)空腹時血糖値のベースラインから主要評価時点までの変化量(mITT集団、EAS)2)
有効性Estimand:MMRM解析、mITT解析対象集団、データは最小二乗平均を示す。
***p<0.001 vs プラセボ群(GPGK試験及びGPGI試験)又はデュラグルチド0.75 mg群(GPGO試験)
≪体重のベースラインからの変化量の範囲≫3)(参考情報)
・チルゼパチド5 mg群:-3.8 kg(GPGP試験、投与52週時)から-7.0 kg(GPGK試験、投与40週時)
・チルゼパチド10 mg群:-7.5 kg(GPGP試験、投与52週時)から-8.5 kg(GPGO試験、投与52週時)
・チルゼパチド15 mg群:-9.5 kg(GPGK試験、投与40週時)から-10.9 kg(GPGI試験、投与40週時)
図3)体重のベースラインから主要評価時点までの変化量(mITT集団、EAS)3)
有効性Estimand:MMRM解析、mITT解析対象集団、データは最小二乗平均を示す。
*** p<0.001 vs プラセボ群(GPGK試験及びGPGI試験)又はデュラグルチド0.75 mg群(GPGO試験)
[引用元]
マンジャロ申請資料概要 CTD2.7.3.3.2.1 (承認時評価資料)
マンジャロ申請資料概要 CTD2.7.3.3.2.2 (承認時評価資料)
マンジャロ申請資料概要 CTD2.7.3.3.2.4 (承認時評価資料)
マンジャロ申請資料概要 CTD2.7.6.19.1 (承認時評価資料)
Inagaki, N., Takeuchi, M., Oura, T., et al.: Efficacy and safety of tirzepatide monotherapy compared with dulaglutide in Japanese patients with type 2 diabetes (SURPASS J-mono): a double-blind, multicentre, randomised, phase 3 trial. Lancet Diabetes Endocrinol, 10(9): 623-633, 2022(HMN30759)
マンジャロ申請資料概要 CTD2.7.6.20.1 (承認時評価資料)
Kadowaki, T., Chin, R., Ozeki, A., et al.: Safety and efficacy of tirzepatide as an add-on to single oral antihyperglycaemic medication in patients with type 2 diabetes in Japan (SURPASS J-combo): a multicentre, randomised, open-label, parallel-group, phase 3 trial. Lancet Diabetes Endocrinol, 10(9): 634-644, 2022(HMN30760)
マンジャロ申請資料概要 CTD2.7.6.14.1 (承認時評価資料)
Rosenstock, J., Wysham, C., Frías, J. P., et al.: Efficacy and safety of a novel dual GIP and GLP-1 receptor agonist tirzepatide in patients with type 2 diabetes (SURPASS-1): a double-blind, randomised, phase 3 trial. Lancet, 398(10295): 143-155, 2021(HMN30737)
マンジャロ申請資料概要 CTD2.7.6.18.1 (承認時評価資料)
Dahl, D., Onishi, Y., Norwood, P., et al.: Effect of Subcutaneous Tirzepatide vs Placebo Added to Titrated Insulin Glargine on Glycemic Control in Patients With Type 2 Diabetes: The SURPASS-5 Randomized Clinical Trial. JAMA, 327(6): 534-545, 2022(HMN30741)
[略語]
mITT=modified intent-to-treat
EAS=有効性解析対象集団
SU=スルホニルウレア
SGLT2=ナトリウム・グルコース共役輸送体2
GPGO試験(SURPASS J-mono) 試験概要4)~6)
試験デザイン |
第III相、多施設共同、無作為化、実薬対照、二重盲検、並行群間試験 |
対象 |
食事・運動療法で血糖コントロールが不十分な日本人2型糖尿病患者636例 |
方法 |
チルゼパチドは週1回、52週間皮下投与した。チルゼパチド5 mg群、10 mg群及び15 mg群のいずれでも初回投与量を2.5 mgとし、維持用量に達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ増量し、維持用量を5 mg、10 mg又は15 mgとした。用量漸増期間は最大24週間であり、最も用量漸増期間が長いチルゼパチド15 mg群では、20週間かけてチルゼパチド15 mgまで増量した後に、維持用量を4週間投与して定常状態に到達させた。 デュラグルチドは、0.75 mgを週1回、52週間皮下投与した。 |
主要評価項目 |
HbA1cのベースラインからの平均変化量 |
副次評価項目 |
空腹時血糖値のベースラインからの平均変化量 体重のベースラインからの平均変化量 |
安全性 |
主な副作用はチルゼパチド5 mg群では便秘13.8%(22/159例)、食欲減退13.8%(22/159例)、悪心11.9%(19/159例)及び下痢10.1%(16/159例)、チルゼパチド10 mg群では悪心19.6%(31/158例)、便秘16.5%(26/158例)及び食欲減退12.0%(19/158例)、チルゼパチド15mg群では食欲減退21.3%(34/160例)、悪心19.4%(31/160例)及び便秘11.9%(19/160例)であった。 |
GPGP試験(SURPASS J-combo) 試験概要6)~8)
試験デザイン |
第III相、多施設共同、無作為化、非盲検、長期投与、併用療法試験 |
対象 |
経口血糖降下薬の単独療法で血糖コントロールが不十分な日本人2型糖尿病患者443例 |
方法 |
チルゼパチドは週1回、52週間皮下投与した。チルゼパチド5 mg群、10 mg群及び15 mg群のいずれでも初回投与量を2.5 mgとし、維持用量に達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ増量し、維持用量を5 mg、10 mg又は15 mgとした。 チルゼパチドの投与期間中に併用した経口血糖降下薬はSU薬、ビグアナイド系薬剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、速効型インスリン分泌促進剤(グリニド薬)又はSGLT2阻害剤であり、低血糖の発現により用量調整が必要になった場合を除き、一定の投与量を維持した。 |
副次評価項目 |
HbA1cのベースラインからの平均変化量 空腹時血糖値のベースラインからの平均変化量 体重のベースラインからの平均変化量 |
安全性 |
主な副作用はチルゼパチド5 mg群では悪心8.8%(13/148例)、便秘7.4%(11/148例)及び食欲減退7.4%(11/148例)、チルゼパチド10 mg群では悪心12.9%(19/147例)、便秘12.2%(18/147例)、下痢10.9%(16/147例)及び食欲減退10.2%(15/147例)、チルゼパチド15 mg群では悪心25.7%(38/148例)、便秘14.2%(21/148例)、食欲減退12.2%(18/148例)、嘔吐9.5%(14/148例)及び下痢8.1%(12/148例)であった。 |
GPGK試験(SURPASS-1) 試験概要6) 9) 10)
試験デザイン |
第III相、多施設共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間試験 |
対象 |
食事・運動療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者478例(日本人89例) |
方法 |
チルゼパチド又はプラセボを週1回、40週間皮下投与した。チルゼパチド5 mg群、10 mg群及び15 mg群のいずれでも初回投与量を2.5 mgとし、維持用量に達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ増量し、維持用量を5 mg、10 mg又は15 mgとした。用量漸増期間は最大24週間であり、最も用量漸増期間が長いチルゼパチド15 mg群では、20週間かけてチルゼパチド15 mgまで増量した後に、維持用量を4週間投与して定常状態に到達させた。 |
主要評価項目 |
HbA1cのベースラインからの平均変化量 |
副次評価項目 |
空腹時血糖値のベースラインからの平均変化量 体重のベースラインからの平均変化量 |
安全性 |
主な副作用はチルゼパチド5 mg群では悪心10.7%(13/121例)、チルゼパチド10 mg群では悪心12.4%(15/121例)及び下痢11.6%(14/121例)、チルゼパチド15 mg群では悪心17.4%(21/121例)及び下痢10.7%(13/121例)であった。 |
GPGI試験(SURPASS-5) 試験概要6) 11) 12)
試験デザイン |
第III相、多施設共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間試験 |
対象 |
インスリン グラルギンの単独療法又はインスリン グラルギンとメトホルミンとの併用療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者475例(日本人82例) |
方法 |
メトホルミン併用又は非併用下で、用量調整したインスリン グラルギンに加えて、チルゼパチド又はプラセボを週1回、40週間皮下投与した。チルゼパチド5 mg群、10 mg群及び15 mg群のいずれでも初回投与量を2.5 mgとし、維持用量に達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ増量し、維持用量を5 mg、10 mg又は15 mgとした。用量漸増期間は最大24週間であり、最も用量漸増期間が長いチルゼパチド15 mg群では、20週間かけてチルゼパチド15 mgまで増量した後に、維持用量を4週間投与して定常状態に到達させた。 インスリン グラルギンは、治験実施計画書で規定されたTreat-to-Targetアルゴリズムを用いて、空腹時血糖値の目標値である100 mg/dL未満に到達するまで患者ごとに調整した。 |
主要評価項目 |
HbA1cのベースラインからの平均変化量(チルゼパチド10 mg又は15 mg) |
副次評価項目 |
HbA1cのベースラインからの平均変化量(チルゼパチド5 mg) 空腹時血糖値のベースラインからの平均変化量 体重のベースラインからの平均変化量 |
安全性 |
主な副作用はチルゼパチド5 mg群では悪心12.9%(15/116例)及び下痢10.3%(12/116例)、チルゼパチド10 mg群では悪心17.6%(21/119例)及び食欲減退12.6%(15/119例)、チルゼパチド15 mg群では悪心17.5%(21/120例)、下痢16.7%(20/120例)、食欲減退14.2%(17/120例)及び嘔吐12.5%(15/120例)であった。 |
最終更新日: April 2025
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