ルムジェブ ® (インスリン リスプロ(遺伝子組換え))
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ルムジェブ(インスリン リスプロ)の持続皮下インスリン注入療法(CSII)における有効性や安全性は?
持続皮下インスリン注入療法(CSII)を行っている1型糖尿病患者を対象とした海外第III相試験の結果は以下のとおりです。
[解説]
<PRONTO-Pump試験>
持続皮下インスリン注入療法(CSII)を行っている1型糖尿病患者49例を対象にルムジェブとヒューマログの投与を比較した海外第III相試験(ITSI[PRONTO-Pump]試験)において、主要評価項目である6週間の治療期間における注入セットの不具合の発現率では、ルムジェブ投与時とヒューマログ投与時で統計学的に有意な差はみられませんでした(p=0.375)1) 2)。
なお、HbA1cのベースライン値はルムジェブ投与時6.97%、ヒューマログ投与時7.17%でしたが、2期のクロスオーバー期間のうち治療期間第1期におけるHbA1cのベースラインからの平均変化量(95%CI)は、ルムジェブ投与時:-0.39%(-0.55%~-0.22%)、ヒューマログ投与時:-0.25%(-0.42%~-0.09%)でした1) 2)。
ベースライン及び投与4~6週時の食後1時間の間質液グルコース値上昇幅(平均値±標準偏差)は、ルムジェブ投与時で13.87 ± 23.38 mg/dL及び15.31 ± 20.56 mg/dL、ヒューマログ投与時で13.87 ± 23.38 mg/dL及び21.26 ± 17.34 mg/dLであり、投与4~6週時の24時間の間質液グルコース値が71~140 mg/dLの範囲であった時間(平均値±標準偏差)は、ルムジェブ投与時で635.87 ± 179.98 min、ヒューマログ投与時で599.65 ± 219.78 minでした1)~3)。
副作用の発現割合は、ルムジェブ投与時26.5%(13/49例)、ヒューマログ投与時12.5%(6/48例)でした。主な副作用は、注入部位反応がルムジェブ投与時12.2%(6/49例)及びヒューマログ投与時6.3%(3/48例)、注入部位疼痛がルムジェブ投与時10.2%(5/49例)及びヒューマログ投与時4.2%(2/48例)でした。
投与4~6週時におけるすべての血糖値が確認された低血糖(血糖値70 mg/dL以下)の発現割合及び発現率は、ルムジェブ投与時83.0%(39/47例)及び76.3件/人・年、ヒューマログ投与時68.1%(32/47例)及び56.2件/人・年でした1)~3)。
参考:
試験期間中に起こった低血糖は、以下の定義で通常の有害事象とは別で収集しています4)。
低血糖の定義
●血糖値が確認された低血糖アラート(70 mg/dL以下):
・血糖値が確認された症候性低血糖:低血糖の典型的な症状が認められる事象。
・血糖値が確認された無症候性低血糖:低血糖の典型的な症状は認められない事象。
・血糖値が確認された詳細不明の低血糖:低血糖の症状に関する情報が記録されていない事象。
●血糖値が確認された臨床的に重要な低血糖(54 mg/dL未満):
・血糖値が確認された症候性低血糖:低血糖の典型的な症状が認められる事象。
・血糖値が確認された無症候性低血糖:低血糖の典型的な症状は認められない事象。
・血糖値が確認された詳細不明の低血糖:低血糖の症状に関する情報が記録されていない事象。
●血糖値が確認できない症候性低血糖:低血糖の症状が認められるが、血糖値が測定されていない事象。
●重症低血糖:エピソード中に、被験者の精神状態が変化して自らの治療を実施できなくなったり、意識混濁又は意識消失となったり、痙攣発作の有無にかかわらず昏睡したりし、積極的な炭水化物やグルカゴンの投与などの回復処置に第三者の介助が必要になる事象。低血糖が発現している期間に血糖値の測定が行われていない場合においても、血糖値の正常化に伴って神経学的な回復が認められた場合は、その事象が低血糖(血糖値が70 mg/dL以下)により誘発されたと判断した。
●その他の低血糖
・夜間低血糖:就寝時から起床時の間に発現したすべての血糖値が確認された低血糖(重症低血糖を含む)。
・総低血糖:このカテゴリーは、すべての低血糖(血糖値が確認された低血糖、血糖値が確認できない症候性低血糖)を組み合わせた。夜間低血糖及び重症低血糖は、血糖値が確認された低血糖又は血糖値が確認できない症候性低血糖に含まれる。低血糖が上記に示しているいずれかの低血糖に複数当てはまる場合、当該事象を総低血糖として1回だけ集計した。
<PRONTO-Pump2試験>
CSIIを行っている1型糖尿病患者432例を対象にルムジェブとヒューマログの投与を比較した海外第III相試験(PRONTO-Pump-2)において、主要評価項目であるHbA1cのベースラインから投与16週時までの変化量に関して、ルムジェブ投与時のヒューマログ投与時に対する非劣性が示されました(非劣性マージン0.4%)。HbA1cのベースライン及び投与16週時の値は、ルムジェブ投与時7.56%及び7.48%、ヒューマログ投与時7.54%及び7.46%であり、HbA1cの変化量の最小二乗平均値の差(95%CI)(ルムジェブ投与時-ヒューマログ投与時)は0.02%(-0.06%~0.11%)でした5)。
投与16週時の食事負荷試験での食後1時間及び2時間の食後血糖値の上昇幅について、ルムジェブ投与時でヒューマログ投与時と比較して有意な低下が認められました(ANCOVA、p<0.001)。最小二乗平均値の差(95%CI)は食後1時間で-26.3 mg/dL(-36.0~-16.6)、食後2時間で-30.7 mg/dL(-44.0~-17.3)でした。投与16週時の24時間の間質液グルコース値が70〜180 mg/dLの範囲であった平均継続時間は、ルムジェブ投与時で834 min、ヒューマログ投与時で828 minであり、ルムジェブ投与時とヒューマログ投与時で有意な差はみられませんでした5)。
TEAE*の発現割合はルムジェブ投与時60.5%(130/215例)、ヒューマログ投与時44.7%(97/217例)であり、主なTEAEは、注射部位反応(ルムジェブ投与時19.1%[41/215例]、ヒューマログ投与時6.9%[15/217例])及び注射部位疼痛(ルムジェブ投与時15.8%[34/215例]、ヒューマログ投与時2.8%[6/217例])でした5)。
すべての血糖値が確認された低血糖(血糖値54 mg/dL未満)の発現割合及び発現率は、ルムジェブ投与時84.4%及び24.6件/人・年、ヒューマログ投与時85.6%及び30.7件/人・年でした5)。
*treatment emergent adverse event、治験薬の初回投与後に発現又は悪化した事象
[引用元]
ルムジェブ申請資料概要CTD2.7.3.2.2承認時評価資料
ルムジェブ申請資料概要CTD2.7.6.24承認時評価資料
ルムジェブ100単位/mL 電子添文
ルムジェブ申請資料概要CTD2.7.4.1.1.3.2承認時評価資料
Warren, M. et al.: Diabetes, Obesity and Metabolism, 23(7): 1552-1561, 2021(HMN30728)
最終更新日: December 2022
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