オルミエント ® (バリシチニブ)
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<アトピー性皮膚炎>オルミエント(バリシチニブ)の臨床試験における単純ヘルペスの発現状況は?
バリシチニブの臨床試験における単純ヘルペスの発現状況は以下の通りです。
[解説]
<アトピー性皮膚炎(成人)>
成人アトピー性皮膚炎患者を対象とした第III相臨床試験において、無作為割付時に単純ヘルペスの症状を有する患者は除外されていました1。
単純ヘルペスの疾患群グループ化にはMedDRA基本語の単純ヘルペス、口腔ヘルペス、ヘルペス性状湿疹、カポジ水痘様発疹、眼部単純ヘルペス、陰部ヘルペス、陰部単純ヘルペスを疾患群として集計しました1。
安全性評価のために使用した併合解析データセットを[Appendix]に、単純ヘルペスの発現状況を表 1に示します。
表 1. 成人アトピー性皮膚炎患者を対象とした臨床試験における単純ヘルペスの発現状況1
|
BARI
2 mg Placebo-Controlleda |
BARI
4 mg Placebo-Controlleda |
BARI
2 mg vs 4 mga |
BARI
2 mg vs 4 mg ext |
All
BARI AD |
||||||
|
Placebo |
BARI
2 mg |
Placebo |
BARI
4 mg |
BARI
2 mg |
BARI
4 mg |
BARI
2 mg |
BARI
4 mg |
All
doses |
||
単純ヘルペス |
23 (2.8) |
27 (3.8) |
22 (2.7) |
35 (6.1) |
25 (3.6) |
35 (6.1) |
41 (5.8) [9.62] |
59 (10.5) [14.47] |
224 (8.9) [10.33] |
||
重篤な有害事象 |
2 (0.2) |
0 |
2 (0.2) |
0 |
0 |
0 |
1 (0.1) [0.16] |
3 (0.6) [0.56] |
11 (0.4) [0.48] |
||
治験薬投与の中断 |
2 (0.2) |
3 (0.5) |
2 (0.2) |
7 (1.2) |
3 (0.5) |
7 (1.2) |
6 (0.9) [1.37] |
11 (1.9) [2.70] |
39 (1.5) [1.70] |
||
治験薬投与の永続的中止 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 (0.2) [0.32] |
2 (0.4) [0.51] |
5 (0.2) [0.22] |
||
抗ウイルス薬投与 |
13 (1.6) |
14 (1.9) |
12 (1.5) |
16 (2.9) |
14 (1.9) |
16 (2.9) |
27 (3.7) [6.12] |
31 (5.7) [6.98] |
131 (5.2) [5.86] |
||
回復 |
21 (2.6) |
26 (3.6) |
20 (2.5) |
33 (5.9) |
24 (3.4) |
33 (5.9) |
38 (5.5) [9.07] |
55 (9.9) [13.59] |
213 (8.4) [9.80] |
略語:AD
= アトピー性皮膚炎;
adj = 調整;
BARI = バリシチニブ;
ext = 継続投与;
IR = 発現率
a
16週間のプラセボ対照期間のデータ
b
併合比較対照解析集団では、BARI投与群とプラセボ投与群の無作為化比、又はBARI投与群と実薬対照群の無作為化比は、併合したすべての試験で同じではないため(例:2:1:1:1
vs 1:1:1:1)、投与群間で適切に直接比較できるよう有害事象について被験者数で調整したパーセンテージを算出した。
c
発現率は、有害事象発現時点で曝露を打ち切りとして100人年あたりの有害事象発現患者数として算出した。
1回以上バリシチニブが投与されたすべての成人アトピー性皮膚炎患者を対象とした解析セットにおいて2531例中224例(8.6%, IR=10.33)で単純ヘルペスが報告されました。
224例の報告のうち、
208例(93%)は軽度から中等度でした
11例(5%)は重篤と報告されました
5例(2%)は治験薬投与の永続的な中止に至りました1
単純ヘルペスの疾患群のうち、各MedDRA基本語別の症例数は以下のとおりでした。
口腔ヘルペス110例(4.3%)
単純ヘルペス91例(3.6%)
ヘルペス性状湿疹32例(1.3%)
カポジ水痘様発疹11例(0.4%)
眼部単純ヘルペス8例(0.3%)
陰部ヘルペス4例(0.2%)
陰部単純ヘルペス3 例(0.1%)1
<アトピー性皮膚炎(小児)>
臨床試験における除外基準
小児アトピー性皮膚炎患者を対象とした第III相臨床試験において、無作為割付時に単純ヘルペスの症状を有する患者は除外されていました2。
単純ヘルペスの発現状況
単純ヘルペスの疾患群グループ化にはMedDRA基本語の単純ヘルペス、口腔ヘルペス、ヘルペス性状湿疹、カポジ水痘様発疹、眼部単純ヘルペス等を疾患群として集計しました2。単純ヘルペスの発現状況を表2に示します。
表 2. 小児アトピー性皮膚炎患者を対象とした臨床試験における単純ヘルペスの発現状況2
プラセボ群 PYE= 102.9 n (%) [EAIR]a |
BARI
低用量群 PYE= 99.4 n (%) [EAIR]a |
BARI
中用量群 PYE= 103.6 n (%) [EAIR]a |
BARI
高用量群 PYE= 121.6 n (%) [EAIR]a |
All
BARI PYE= 750.7 n (%) [EAIR]a |
|
単純ヘルペス |
4 (3.3) [3.9] |
4 (3.3) [4.1] |
2 (1.7) [1.9] |
4 (3.3) [3.4] |
28 (6.0) [3.9] |
重篤な有害事象 |
0 [0.0] |
0 [0.0] |
0 [0.0] |
1 (0.8) [0.8] |
4 (0.9) [0.5] |
治験薬投与の中断 |
3 (2.4) [2.9] |
1 (0.8) [1.0] |
0 [0.0] |
2 (1.7) [1.6] |
9 (1.9) [1.2] |
治験薬投与の永続的中止 |
1 (0.8) [1.0] |
0 [0.0] |
0 [0.0] |
0 [0.0] |
1 (0.2) [0.1] |
略語: BARI = バリシチニブ、EAIR = 曝露量で調整した発現率、PYR = リスク人年
低用量:2歳以上10歳未満0.5 mg・10歳以上18歳未満1 mg
中用量:2歳以上10歳未満1 mg・10歳以上18歳未満2 mg
高用量:2歳以上10歳未満2 mg・10歳以上18歳未満4 mg
a 曝露量で調整した発現率は、観察期間での100リスク人年あたりのイベントを発現した被験者数として算出した。
All BARI AD
1回以上バリシチニブが投与されたすべての小児アトピー性皮膚炎患者において467例中28例(6.0%, EAIR=3.9)で単純ヘルペスが報告されました。
28例の報告のうち、
26例(93%)は軽度から中等度でした
4例(14%)は重篤と報告されました
1例(4%)は治験薬投与の永続的な中止に至りました2
単純ヘルペスの疾患群のうち、各MedDRA基本語別の症例数は以下のとおりでした。
単純ヘルペス15例(3.2%)
口腔ヘルペス11例(2.4%)
ヘルペス性状湿疹3例(0.6%)
眼部単純ヘルペス2例(0.4%)2
[引用元]
社内資料:アトピー性皮膚炎患者を対象とした臨床試験(JAHG試験、BREEZE-AD1~AD7試験)
オルミエント アトピー性皮膚炎小児申請資料概要CTD2.7.4.2.1.8.7.1(承認時評価資料)
[略語]
AD = アトピー性皮膚炎
All BARI AD = バリシチニブ投与を受けたすべてのアトピー性皮膚炎患者を対象とした解析セット
BARI = バリシチニブ
MedDRA = ICH国際医薬用語集日本語版
表 3. 安全性評価のために使用された併合解析セット1
解析対象集団a |
概要 |
BARI 2 mgプラセボ対照 対象試験:JAHG、BREEZE-AD1、BREEZE-AD2、BREEZE- AD4、BREEZE- AD5、及びBREEZE-AD7 |
BARI 2 mgとプラセボの比較 1つの第II相試験及び5つの第III相試験で以下に無作為割付されたAD患者を解析対象とする。 BARI 2 mg (n=721、PYE =210.6) 又は プラセボ (n=889、PYE=252.7) 投与期間は0~16週間 |
BARI 4 mgプラセボ対照 対象試験:JAHG、BREEZE-AD1、 BREEZE-AD2、BREEZE- AD4、及びBREEZE-AD7 |
BARI 4 mgとプラセボの比較 1つの第II相試験及び4つの第III相試験で以下に無作為割付されたAD患者を解析対象とする。 BARI 4 mg (n=489、PYE=147.1) 又は プラセボ (n=743、PYE=211.8) 投与期間は0~16週間 |
BARI 2 mgと4 mgの比較 対象試験:JAHG、BREEZE-AD1、BREEZE-AD2、BREEZE-AD4、及びBREEZE-AD7 |
16週間におけるBARI 2 mgとBARI 4 mgの比較 1つの第II相試験及び4つの第III相試験で以下に無作為割付されたAD患者を解析対象とする。 BARI 2 mg (n=576、PYE=169.1) 又は BARI 4 mg (n=489、PYE=147.1) プラセボ対照期間の投与は0~16週間 |
BARI 2 mgと4 mgの比較(継続投与) 対象試験:JAHG、BREEZE-AD1、BREEZE-AD2、BREEZE-AD4、BREEZE-AD7、及びBREEZE-AD3(継続投与試験) |
継続投与の評価を含め、BARI 2 mgとBARI 4 mgの比較 1つの第II相試験及び4つの第III相試験、並びに第III相継続投与試験(BREEZE-AD3)でさらに投与を継続した患者で、以下に無作為に割り付けられたAD患者を解析対象とする。 BARI 2 mg (n=576、PYE=425.5) 又は BARI 4 mg (n=489、PYE=459.3) 投与期間は0~16週間 BREEZE-AD4試験及びBREEZE-AD3試験については、用量又は投与の変更(レスキュー、用量切り替え、BARIの異なる用量又はプラセボへの再割付)の時点でデータ打ち切り |
All BARI AD(1回以上バリシチニブが投与されたすべてのAD患者を対象とした解析セット) 対象試験:JAHG、BREEZE-AD1、BREEZE-AD2、BREEZE-AD4、BREEZE-AD5、BREEZE-AD7、BREEZE-AD3(継続投与試験)、及びBREEZE-AD6(継続投与試験) |
投与群間比較なし 1つの第II相試験、5つの第III相試験、及び2つの第III相継続投与試験で以下の用量のBARIを投与したAD患者2531例(総PYE = 2247.4)を解析対象とする。 BARI 1 mg (n=538、PYE=245.9)b BARI 2 mg (n=1580、PYE=1129.5) BARI 4 mg (n=914、PYE=872.8) 治験期間中、無作為割付以降、又はプラセボからの切り替えもしくはレスキュー以降、いずれかの時点で用量を問わずBARIを投与したすべての患者 用量変更時点でのデータの打ち切りなし |
略語:AD = アトピー性皮膚炎; BARI = バリシチニブ; PYE = 曝露期間(人年); TCS = ステロイド外用剤
TCS併用あり:JAHG、BREEZE-AD3、BREEZE-AD4、BREEZE-AD6、BREEZE-AD7、TCS併用なし(単剤療法):BREEZE-AD1、BREEZE-AD2、BREEZE-AD5
a TCS併用あり:JAHG、BREEZE-AD3、BREEZE-AD4、BREEZE-AD6、BREEZE-AD7、TCS併用なし(単剤療法):BREEZE-AD1、BREEZE-AD2、BREEZE-AD5
b 本邦で承認されたアトピー性皮膚炎に対する本剤の用法及び用量は「通常、成人にはバリシチニブとして4 mg を1 日1 回経口投与する。なお、患者の状態に応じて2 mg に減量すること。」である。
最終更新日: May 2024
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