エムガルティ ® (ガルカネズマブ(遺伝子組換え))
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エムガルティ(ガルカネズマブ)はいつまで片頭痛発作の発症抑制を目的とした投与を継続する必要があるか?
エムガルティ(ガルカネズマブ)投与中は症状の経過を十分に観察し、投与開始後3ヵ月を目安に治療上の有益性を評価し、症状の改善が認められない場合にはガルカネズマブの投与中止を考慮してください。その後、頭痛発作発現の消失・軽減等により日常生活に支障をきたさなくなった場合には、ガルカネズマブの投与中止を考慮してください。 片頭痛発作の発症抑制におけるガルカネズマブの至適投与期間を検討した試験はありません。 なお国内臨床試験では、最長18ヵ月間投与しました。
[解説]
ガルカネズマブ(以下、本剤)投与中は症状の経過を十分に観察し、本剤投与開始後3 ヵ月を目安に治療上の有益性を評価して症状の改善が認められない場合には、本剤の投与中止を考慮してください。またその後も定期的に投与継続の要否について検討し、頭痛発作発現の消失・軽減等により日常生活に支障をきたさなくなった場合には、本剤の投与中止を考慮してください1)。片頭痛に影響する学業、仕事、家事、育児等のライフスタイルは患者によって異なりますので、本剤による予防療法の要否は医師によって患者ごとに患者の状態を考慮して、定期的に継続の必要性を判断されることが適切と考えています。
また、EHFガイドラインExpert consensus statement – question 3「片頭痛患者において抗CGRPモノクローナル抗体による治療はいつ中断すべきか?」には以下が記載されています2)。
反復性または慢性片頭痛の患者さんには、CGRP経路を標的とするモノクローナル抗体による治療を12~18ヶ月間継続した後に、治療の一時中断の検討をすることを推奨します。必要と判断された場合は、必要な期間治療を継続してください。治療を中断した片頭痛患者において、治療中断後に片頭痛が悪化した場合は、治療を再開することを提案します。
臨床試験においては、国内第III相長期投与試験(CGAP試験)では、6ヵ月の国内第II相試験(CGAN試験:二重盲検試験)を完了した反復性片頭痛患者に対して、さらに非盲検で12ヵ月、本剤を投与しました1)3)。
CGAN試験で本剤120 mgを投与された患者(115例)における1ヵ月あたりのMHD*のベースラインからの変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は-3.6±0.3日でした1)。
CGAN試験・CGAP試験の両方で本剤120 mgを投与された患者(58例)における1ヵ月あたりのMHDのベースラインからの変化量(CGAP試験12ヵ月間の平均)は-1.8日であり、CGAN試験を含めた18ヵ月のMHDの継続的な改善が認められ、本剤の長期の安全性及び良好な忍容性が確認されました1、4、5)。
CGAN試験における副作用発現頻度は本剤120 mg投与群で29.6%(34/115例)でした。本剤120 mg投与群の主な副作用は注射部位紅斑14.8%、注射部位腫脹10.4%、注射部位そう痒感8.7%、注射部位疼痛6.1%でした1)。
CGAP試験における副作用発現頻度は反復性片頭痛患者の本剤120 mg投与群で32.5%(39/120例)であり、慢性片頭痛患者の本剤120 mg投与群で28.1%(9/32例)でした。反復性片頭痛患者における主な副作用は注射部位紅斑17.5%、注射部位そう痒感14.2%、注射部位腫脹8.3%でした。慢性片頭痛患者における主な副作用は注射部位そう痒感15.6%、注射部位紅斑9.4%、注射部位疼痛6.3%でした1)。
*片頭痛又は片頭痛の疑いが起こった日数。
試験デザイン |
多施設共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較試験 (国内第II相試験) |
対象 |
日本人反復性片頭痛患者459例 |
方法 |
ガルカネズマブ120 mg(開始用量240 mg)、240 mg又はプラセボを1ヵ月間隔で6ヵ月間皮下投与した注)。 |
投与期間 |
二重盲検投与期間(6ヵ月)後に後観察期間(4ヵ月)を設定 (後観察期間はCGAP試験に参加しない患者のみ) |
【CGAP試験の概要】1)6)
試験デザイン |
多施設共同、無作為化、非盲検、長期安全性試験(国内第III相試験) |
対象 |
CGAN試験を完了した日本人反復性片頭痛患者246例及び新規参加の日本人慢性片頭痛患者65例(計311例) |
方法 |
ガルカネズマブ120 mg(開始用量240 mg)又は240 mgを1ヵ月間隔で12ヵ月間皮下投与した注)。 |
投与期間 |
非盲検投与期間(12ヵ月)後に後観察期間(4ヵ月)を設定 |
注)本剤120㎎が投与された群にも初回は240㎎が投与されています。本剤の承認された用法及び用量は、「初回に240 mgを皮下投与し、以降は1ヵ月間隔で120 mgを皮下投与する。」です。
Sacco S, et al. J Headache Pain. 2022;23:67(CNS31666)
エムガルティ 申請資料概要(CTD2.7.6.6.1)(承認時評価資料)
エムガルティ 申請資料概要(CTD2.7.6.13.3、2.7.3.5.1.1、2.7.6.13.2.1、2.7.6.13.2.3.1)(承認時評価資料)
最適使用推進ガイドライン ガルカネズマブ(遺伝子組換え)
https://www.pmda.go.jp/files/000240430.pdf
エムガルティ 申請資料概要(CTD2.7.6.13.1)(承認時評価資料)
[略語]
EHF = EU頭痛連盟
MHD = 片頭痛日数
最終更新日: October 2022
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