オルミエント ® (バリシチニブ)
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<効能共通>オルミエント(バリシチニブ)の副作用「肝障害」の発現状況、発現機序及び発現した場合の対処法は?
肝障害の発現状況、発現機序及び発現した場合の対処法は以下の通りです。
[解説]
※本剤は、国内外の試験成績に基づいて承認されました。このため、一部国内の承認効能又は効果、用法及び用量と異なる成績が含まれています。
《発現状況》
<関節リウマチ>
肝障害に関連する可能性のある有害事象が発現した患者の割合は、関節リウマチ患者を対象とした長期継続試験を含む国内外臨床試験10試験の併合解析において、バリシチニブが投与された全体集団の13.4%(505/3770例)でした1)。また、臨床検査値において、ALTが基準値以上に上昇した患者の割合は下表のとおりです1)。
<アトピー性皮膚炎(成人)>
肝障害に関連する可能性のある有害事象が発現した患者の割合は、成人アトピー性皮膚炎患者を対象とした長期継続試験を含む国内外臨床試験8試験の併合解析において、バリシチニブが投与された全体集団の5.5%(144/2636例)でした2)。また、臨床検査値において、ALTが基準値以上に上昇した患者の割合は下表のとおりです2)。
<アトピー性皮膚炎(小児)>
肝障害に関連する可能性のある有害事象が発現した患者の割合は、小児アトピー性皮膚炎患者を対象とした長期投与期間を含む国内外臨床試験JAIP試験(52週データカットオフ時)においてバリシチニブが投与された全体集団の1.9%(9/467例)でした2)。また、臨床検査値において、ALTが基準値以上に上昇した患者の割合は下表のとおりです2)。
<円形脱毛症>
肝障害に関連する可能性のある有害事象は、円形脱毛症患者を対象とした国内外臨床試験2試験の二重盲検期間(36週及び最終投与後最長30日まで)の併合解析において、バリシチニブ4 mg群の6.9%(39/565例)に発現しました【データカットオフ日:2022年5月24日(JAHO)、2022年5月10日(JAIR)】2)。また、臨床検査値において、ALTが基準値以上に上昇した患者の割合は下表のとおりです2)。
<新型コロナウイルス感染症:COVID-19>
※ACTT-2試験ではCOVID-19の症状及び重症度を考慮し、有害事象についてはDAIDSのグレード3又は4の事象を収集しました。なお、以下に示す結果は臨床検査値異常を含まない有害事象です。
SARS-CoV-2による肺炎患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(ACTT-2試験)におけるグレード3以上の肝機能障害の発現割合は、バリシチニブ+レムデシビル併用群で4.3%(22/507例)、プラセボ+レムデシビル投与群で7.3%(37/509例)でした3)。また、臨床検査値においていずれかの投与群で2%超に発現した有害事象は、ALT増加はバリシチニブ+レムデシビル併用群で1.8%(9/507例)、プラセボ+レムデシビル投与群で3.5%(18/509例)、AST増加はそれぞれ1.2%(6/507例)、2.4%(12/509例)でした4)。
(参考:ACTT-2試験における有害事象の収集及び評価について)
ACTT-2試験ではCOVID-19の症状及び重症度を考慮し、有害事象についてはグレード3又は4*の事象を収集しました。また、治験薬との関連があると判断されたグレード2*以上の薬剤関連過敏症反応、グレードを問わない静脈血栓塞栓関連事象を収集しました4)。
*Division of AIDS(DAIDS)Table for Grading the Severity of Adult and Pediatric Adverse Eventsを用いて、有害事象及び重篤な有害事象の重症度を評価しました。グレード2~5は以下のとおりです4)。
グレード2:中等度
グレード3:高度
グレード4:生命を脅かす可能性のある事象
グレード5:有害事象に関連するすべての死亡はグレード5に分類
<多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎>
肝障害に関連する可能性のある有害事象が発現した患者の割合は、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎患者を対象とした、国内外臨床試験(JAHV試験)の二重盲検治療中止期間(最長32週間)においてバリシチニブ投与群の8.5%(7/82例)、長期継続試験を含む国内外臨床試験2試験の併合解析においてバリシチニブが投与された全体集団の10.0%(22/220例)でした1)。また、臨床検査値において、ALTが基準値以上に上昇した患者の割合は下表のとおりです1)。
《発現機序》
<効能共通>
バリシチニブによる肝酵素上昇の作用機序は不明ですが、国内外の臨床試験で基準値上限の5~10倍以上のトランスアミナーゼ値の上昇を伴う肝機能障害が報告されています1,2)。
《対処法》
<効能共通>
バリシチニブ投与中は定期的にトランスアミナーゼ値を測定してください。トランスアミナーゼ値の上昇が認められ、薬物性肝障害が疑われる場合には、バリシチニブの投与を中断してください1,2)。
B型肝炎ウイルスの再活性化が疑われる場合は、直ちに投与を中止せず、対応を肝臓専門医とご相談ください。「B型肝炎治療ガイドライン」5)も併せてご参照ください1,2)。
症状は、全身症状(倦怠感、発熱、黄疸など)、消化器症状(食欲不振、吐き気、おう吐、腹痛など)、皮膚症状(発疹、じんましん、かゆみなど)等です。このような症状が出たらすぐに病院に連絡するよう、患者にご指導ください1,2)。
1. オルミエント 適正使用ガイド(関節リウマチ/多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎)
2. オルミエント 適正使用ガイド(アトピー性皮膚炎/円形脱毛症)
4. オルミエント 申請資料概要(COVID-19)CTD2.5.5.1.1(承認時評価資料)
5. 日本肝臓学会 肝炎診療ガイドライン作成委員会編 B型肝炎治療ガイドライン(第4版).2022年6月(https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/B_v4.pdf)最終アクセス日:2023年12月20日
ACTT-2 = Adaptive COVID-19 Treatment Trial 2
ALT = アラニンアミノトランスフェラーゼ
AST = アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
COVID-19 = SARS-CoV-2による感染症
SARS-CoV-2 = 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2
最終更新日: June 2024
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