レイボー ® (ラスミジタンコハク酸塩)
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レイボー(ラスミジタン)を肝障害患者に投与してもよいか?投与する際の注意点(用量調整など)は?
電子添文上、ラスミジタンは軽度から中等度の肝機能障害患者への投与に制限はなく、投与時の用量調整の規定はありません。ただし、重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していないため、重度の肝機能障害患者への投与は慎重に検討してください。
[解説]
ラスミジタンは、主にCYP以外の酵素により肝内及び肝外で代謝されます。主要な代謝経路はケトン還元によるアルコール生成(S-M8)で、投与量の約66%がS-M8として尿中に排泄されました。ラスミジタンは主に代謝によって消失し、尿中未変化体排泄率は約3%で、腎排泄はわずかでした1) 2)。
肝機能障害を有する患者を対象とした外国第I相臨床試験LAHF試験において、軽度又は中等度の肝機能障害患者(Child-PughクラスA又はB)と正常肝機能者では、ラスミジタンのPKパラメータに臨床的に意義のある差はみられませんでした2)~4)。
しかし、LAHF試験では重度の肝機能障害患者(Child-PughクラスC)の影響を評価しておらず、重度の肝機能障害患者を対象とした他の臨床試験も実施していないため、重度の肝機能障害患者に対してはラスミジタン投与の可否を慎重に検討してください2)。
《LAHF試験》
軽度肝機能障害患者、中等度肝機能障害患者及び正常肝機能者各8例に、ラスミジタン200 mg(最大臨床用量)を空腹時に単回投与したときのラスミジタンのPKパラメータを評価しました3) 4)。
正常肝機能者と比較して、軽度及び中等度肝機能障害患者では、ラスミジタンのCmaxの幾何平均値はそれぞれ19%及び33%上昇し、AUC0-∞の幾何平均値はそれぞれ11%及び35%増加しましたが、個体間変動(25~59%)の範囲内でした。t1/2の幾何平均値は、正常肝機能者で5.09時間、中等度肝機能障害患者で7.82時間でした(表1)3) 4)。
表1)ラスミジタンのPKパラメータに及ぼす肝機能障害の影響3) 4)
パラメータ |
患者 |
n |
最小二乗 幾何平均値 |
最小二乗幾何平均値の比 (90%信頼区間) |
||
Cmax (ng/mL) |
正常肝機能 |
8 |
220 |
軽度肝機能障害/正常肝機能 |
1.19 (0.79, 1.79) |
|
軽度肝機能 障害 |
8 |
261 |
中等度肝機能障害/正常肝機能 |
1.33 (0.90, 1.98) |
||
中等度肝機能 障害 |
8 |
294 |
軽度肝機能障害/中等度肝機能障害 |
0.89 (0.54, 1.47) |
||
AUC0-∞ (ng・h/mL) |
正常肝機能 |
8 |
1610 |
軽度肝機能障害/正常肝機能 |
1.11 (0.78, 1.60) |
|
軽度肝機能 障害 |
8 |
1790 |
中等度肝機能障害/正常肝機能 |
1.35 (0.84, 2.17) |
||
中等度肝機能 障害 |
8 |
2170 |
軽度肝機能障害/中等度肝機能障害 |
0.83 (0.50, 1.37) |
||
パラメータ |
患者 |
n |
中央値 |
中央値の差 (90%信頼区間) |
p値* |
|
tmax (h) |
正常肝機能 |
8 |
2.52 |
軽度肝機能障害 -正常肝機能 |
-0.88 (-1.75, 0.00) |
0.1315 |
軽度肝機能 障害 |
8 |
2.00 |
中等度肝機能障害 -正常肝機能 |
-1.38 (-2.00, 0.75) |
0.0079 |
|
中等度肝機能 障害 |
8 |
1.38 |
軽度肝機能障害 -中等度肝機能障害 |
0.63 (0.00, 1.25) |
*Wilcoxon順位和検定
肝機能障害の程度は、Child-Pughスコアを用いて分類しました(表2)3)。
表2)Child-Pugh Classification Scores3)
クラスA = 5~6点(→軽度肝機能障害)、クラスB = 7~9点(→中等度肝機能障害)、クラスC = 10~15点(→重度肝機能障害)
[引用元]
レイボー申請資料概要 CTD2.7.2.3.1.4,2.7.2.3.1.5,2.7.6.6 (承認時評価資料)
レイボー申請資料概要 CTD2.7.2.2.2.2.4.3,2.7.6.9 (承認時評価資料)
[略語]
AUC0-∞ = 0時間から無限時間まで外挿した血漿中濃度‐時間曲線下面積
Cmax = 最高血漿中濃度
CYP = チトクロームP450
PK = 薬物動態
t1/2 = 消失半減期
tmax = 最高血漿中濃度到達時間
最終更新日: July 2024
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