レイボー ® (ラスミジタンコハク酸塩)
以下は適正使用情報として、本邦における承認事項(用法・用量、適応、剤形など)以外の情報が含まれる場合がございます。薬剤の使用に際しては、製品情報ページにある最新の電子化された添付文書をご確認ください。
レイボー(ラスミジタン)と片頭痛予防薬の併用は可能か?併用時の注意点は?
ラスミジタンは片頭痛の急性期治療薬であり、片頭痛予防薬との併用は可能です。臨床試験においても、片頭痛予防薬との併用は許容されていました。ただし、電子添文上、中枢神経抑制剤、心拍数を減少させる薬剤(プロプラノロール)及びセロトニン作動薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、三環系抗うつ剤など)などは併用注意に設定されています。これらの薬剤との併用の際には慎重な投与をお願いいたします。
[解説]
片頭痛患者を対象とした国内外の第II、III相臨床試験MONONOFU(LAIH)試験、SPARTAN(LAHK)試験及びSAMURAI(LAHJ)試験において、片頭痛予防薬の併用は許容されていました(表1)1)。
表1)主な選択基準(MONONOFU[LAIH]試験、SPARTAN[LAHK]試験、SAMURAI[LAHJ]試験)1)
片頭痛予防薬の併用規定 ・各試験ともに試験期間中一定の用量で用いられている片頭痛予防薬の併用を許可した。LAHJ試験、LAHK試験及びLAIH試験では、片頭痛予防薬使用の有無を層別因子とした層別無作為割付を実施した。 |
これらの臨床試験で併用された片頭痛予防薬は、精神賦活薬(抗うつ薬を含む)、精神抑制薬(抗てんかん薬を含む)、心拍数低下薬(プロプラノロールを含む)などでした2)。
このうち、中枢神経抑制剤、心拍数を減少させる薬剤などは、作用が相加的にあらわれることがあるため、電子添文上、併用注意に設定されています3)。
プロプラノロールについては、臨床薬理試験で相互作用が評価されています。
健康成人44例にプロプラノロール80 mgを反復経口投与後、ラスミジタン200 mgを単回経口併用投与したとき、ラスミジタン単独投与時と比較して、ラスミジタンのCmaxは12%減少し、AUC0-∞に変化はありませんでした4) 5)。また、プロプラノロール単独投与時と比較して、プロプラノロールのCmaxは4%、AUCτは0.1%減少しました。ラスミジタンとプロプラノロールの併用投与後に脈拍数の減少がみられ、1.5時間後の脈拍数の減少(平均値)は19.3 bpmであり、プロプラノロール単独投与後の同時点と比較して5.1 bpm大きくなりました4) 5)。
これらの薬剤との併用の際には、電子添文の併用注意に記載のある薬剤ごとの臨床症状に、注意してください3)。また、実際に併用する際は、各片頭痛予防薬の電子添文もご確認ください。
なお、MONONOFU(LAIH)試験、並びにSPARTAN(LAHK)試験及びSAMURAI(LAHJ)試験の併合解析において、片頭痛予防薬(プロプラノロール、ロメリジン塩酸塩、ベラパミル塩酸塩※1、バルプロ酸又はアミトリプチリン※2)の併用が、有害事象の発現に及ぼす影響について検討したところ、片頭痛予防薬の併用により、浮動性めまい及び傾眠の発現割合が高くなる傾向は認められませんでした(表2)6)。
※1:国内では片頭痛治療薬として未承認
※2:国内では保険診療における片頭痛に対する適応外使用が認められている(参考:頭痛の診療ガイドライン2021)
表2)全ラスミジタン群における片頭痛予防薬の併用の有無別のTEAEの発現割合(安全性解析対象集団)(MONONOFU[LAIH]試験、SPARTAN[LAHK]試験及びSAMURAI[LAHJ]試験)6) 7)
《有害事象・副作用の定義》
有害事象(TEAE) |
治験薬投与後48時間以内の有害事象。 |
重篤な有害事象(TE-SAE) |
治験薬投与後48時間以内の重篤な有害事象。 |
有害事象(AE) |
割り付け後、試験完了までの期間のすべての有害事象。 |
副作用 |
因果関係の否定できない治験薬投与後48時間以内の有害事象。 |
【レイボーの相互作用】3)
薬剤名等 |
臨床症状・措置方法 |
機序・危険因子 |
中枢神経抑制剤 アルコール |
鎮静作用を引き起こす可能性があるだけでなく、他の認知的又は精神神経系の副作用を起こすおそれがある。 アルコール又は他の中枢神経抑制剤と併用する場合は、慎重に投与する必要がある。 |
中枢神経抑制作用を有するため、作用が相加的にあらわれることがある。 |
心拍数を減少させる薬剤 プロプラノロール |
プロプラノロールと本剤を併用すると、心拍数が平均最大19.3 bpm低下し、プロプラノロールを単独投与したときと比較して、更に5.1 bpm減少した。 心拍数を減少させる薬剤と併用する場合は、慎重に投与する必要がある。 |
本剤は心拍数の減少と関連しているため、作用が相加的にあらわれることがある。 |
セロトニン作動薬 選択的セロトニン再取り込み阻害剤 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 三環系抗うつ剤等 MAO阻害剤 |
セロトニン症候群があらわれることがある。 |
本剤との併用により、セロトニン作用が相加的にあらわれることがある。 |
[引用元]
レイボー申請資料概要 CTD2.7.3.1.2.1 (承認時評価資料)
レイボー申請資料概要 CTD2.7.4.5.3.1,2.7.4.5.3.2 (承認時評価資料)
Tsai M. et al.: Clin Pharmacol Drug Dev, 9(5): 629-638, 2020(CNS31611)
レイボー申請資料概要 CTD2.7.2.2.2.2.5.1,表2.7.2.2-12,表2.7.2.2-13 (承認時評価資料)
レイボー審査報告書
Loo, L. S. et al.: J Headache Pain, 20(1): 84, 2019(CNS31618)
[略語]
AUC0-∞ = 0時間から無限時間まで外挿した血漿中濃度-時間曲線下面積
AUCτ = 投与間隔における血漿中濃度-時間曲線下面積
bpm = 1分間の心拍数
Cmax = 最高血漿中濃度
最終更新日: August 2024
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