レイボー ® (ラスミジタンコハク酸塩)
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レイボー(ラスミジタン)の長期の安全性は?
GLADIATOR(LAHL)試験及びCENTURION(LAIJ)試験では、最長16ヵ月間(二重盲検期および非盲検期)の複数回の片頭痛発作に対してラスミジタンを投与しました。 これらの臨床試験において、ラスミジタンを複数回又は長期間、間欠投与した際に、発現割合又は重症度が高くなる有害事象は認められませんでした。また、安全性において問題となるような長期間投与に特有の有害事象も認められませんでした。
[解説]
片頭痛患者を対象とした外国第III相長期安全性試験GLADIATOR(LAHL)試験、及び外国第III相臨床試験CENTURION(LAIJ)試験における有害事象プロファイルは、1回の片頭痛発作に対する臨床試験である、外国第III相臨床試験SPARTAN(LAHK)試験及びSAMURAI(LAHJ)試験の有害事象プロファイルと、おおむね一致しました。また、TEAEの発現割合は1回目の片頭痛発作治療後が最も高く、2回目以降は1回目よりも低くなりました。ラスミジタンの長期安全性に関する新たな懸念は認められませんでした1)-4)。
《GLADIATOR(LAHL)試験》
治療回数を問わないTEAEの発現割合、治療回数を問わない副作用の発現割合、主な副作用、TE-SAE、試験中止に至ったAE及び死亡は、表1~3の通りです5),6)。
5回以上治療した被験者を対象に、1~5回目の発作に対するTEAEを評価したところ、治療した片頭痛発作ごとにみた、1件以上のTEAEを発現した被験者の割合は、1回目の発作ではラスミジタン100mg群20.5%、200mg群27.5%で、5回目の発作ではそれぞれ10.9%、14.5%でした(表4)6),7)。
表1)治療回数を問わないTEAE及び副作用の発現割合(安全性解析対象集団)[GLADIATOR(LAHL)試験]5)
|
ラスミジタン100mg群 (n = 991) |
ラスミジタン200mg群 (n = 1039) |
TEAE |
447(45.1) |
545(52.5) |
副作用 |
370(37.3) |
476(45.8) |
n(%)
表2)主な副作用(いずれかの群で5%以上に発現)(安全性解析対象集団)[GLADIATOR(LAHL)試験]5)
|
ラスミジタン100mg群 (n = 991) |
ラスミジタン200mg群 (n = 1039) |
浮動性めまい |
152(15.3) |
216(20.8) |
傾眠 |
77(7.8) |
94(9.0) |
錯感覚 |
51(5.1) |
84(8.1) |
疲労 |
46(4.6) |
60(5.8) |
悪心 |
35(3.5) |
53(5.1) |
n(%)、MedDRA/J version 23.0
表3)TE-SAE、試験中止に至ったAE及び死亡(安全性解析対象集団)[GLADIATOR(LAHL)試験]5)
|
ラスミジタン100mg群 (n = 991) |
ラスミジタン200mg群 (n = 1039) |
TE-SAE |
3例[蜂巣炎、よう、四肢膿瘍(各1例)] |
8例12件[胃炎(2件)、急性胆嚢炎、再発甲状腺癌、徐脈、洞結節機能不全、腰部脊柱管狭窄症、副鼻腔炎、尿路感染、腎結石症、憩室炎、子宮内膜症(各1件)] |
試験中止に至ったAE |
113例[主な中止理由:浮動性めまい(28例)] |
148例[主な中止理由:浮動性めまい(44例)] |
死亡 |
報告なし |
治験薬との因果関係を否定できないTE-SAEは無し
表4)治療した片頭痛発作ごとにみた、1件以上のTEAEを発現した被験者の割合(安全性解析対象集団、治療した片頭痛発作が5回以上の被験者)[GLADIATOR(LAHL)試験]6),7)
|
1回目の発作 |
2回目の発作 |
3回目の発作 |
4回目の発作 |
5回目の発作 |
レイボー100mg群 (n=576) |
118(20.5) |
76(13.2) |
75(13.0) |
60(10.4) |
63(10.9) |
レイボー200mg群 (n=579) |
159(27.5) |
113(19.5) |
104(18.0) |
89(15.4) |
84(14.5) |
n(%)
《CENTURION(LAIJ)試験》
CENTURION(LAIJ)試験の二重盲検期では、4回の片頭痛発作に対して、治験薬(対照群ではプラセボ3回及びラスミジタン50mg 1回、ラスミジタン群ではラスミジタン100mg又は200mg)を経口投与しました。二重盲検期終了後、一部の被験者はさらに非盲検期へ移行し、12ヵ月間に起こった複数回の片頭痛発作に対して、ラスミジタン100mgを経口投与しました。CENTURION(LAIJ)試験の非盲検期は現在進行中です8)。
◆二重盲検期
治療回数を問わないTEAEの発現割合、治療回数を問わない副作用の発現割合、主な副作用、SAE、試験中止に至ったAE及び死亡は、表5~7の通りです9)。
4回治療した被験者を対象に、1~4回目の発作に対するTEAEを評価したところ、治療した片頭痛発作ごとにみた、1件以上のTEAEを発現した被験者の割合は、1回目の発作ではラスミジタン100mg群49.8%、200mg群54.8%で、4回目の発作ではそれぞれ32.0%、33.2%でした(表8)10)。
表5)治療回数を問わないTEAE及び副作用の発現割合(二重盲検期)(安全性解析対象集団)[CENTURION(LAIJ)試験]9)
|
対照群(n = 500) |
ラスミジタン100mg群 (n = 485) |
ラスミジタン200mg群 (n = 486) |
|
プラセボ群 (n = 500) |
ラスミジタン50mg群(n = 323) |
|||
TEAE |
184(36.8) |
328(67.6) |
352(72.4) |
|
162(32.4) |
55(17.0) |
|||
副作用 |
129(25.8) |
306(63.1) |
338(69.5) |
|
113(22.6) |
43(13.3) |
n(%)
表6)主な副作用一覧(いずれかの群で5%以上に発現)(二重盲検期)(安全性解析対象集団)[CENTURION(LAIJ)試験]9)
|
対照群(n = 500) |
ラスミジタン100mg群 (n = 485) |
ラスミジタン200mg群 (n = 486) |
|
プラセボ群 (n = 500) |
ラスミジタン50mg群 (n = 323) |
|||
浮動性めまい |
28(5.6) |
19(5.9) |
147(30.3) |
178 (36.6) |
錯感覚 |
14(2.8) |
7(2.2) |
69(14.2) |
93 (19.1) |
悪心 |
20(4.0) |
4(1.2) |
51(10.5) |
68 (14.0) |
疲労 |
13(2.6) |
6(1.9) |
51(10.5) |
67 (13.8) |
傾眠 |
10(2.0) |
2(0.6) |
32(6.6) |
53 (10.9) |
回転性めまい |
4(0.8) |
3(0.9) |
41(8.5) |
47 (9.7) |
無力症 |
1(0.2) |
1(0.3) |
21(4.3) |
30 (6.2) |
筋力低下 |
2(0.4) |
0(0.0) |
21(4.3) |
29 (6.0) |
n(%)、MedDRA/J version 23.0
表7)SAE、試験中止に至ったAE及び死亡(二重盲検期)(安全性解析対象集団)[CENTURION(LAIJ)試験]9)
|
対照群(n = 500) |
ラスミジタン100mg群 (n = 485) |
ラスミジタン200mg群 (n = 486) |
SAE |
7例8件[肝障害、子宮内膜症、自殺念慮、喘息、頭痛、嘔吐、Lung adenocarcinoma、靱帯断裂(各1件)] |
7例8件[虫垂炎(2件)、不正子宮出血、Haemorrhoids thrombosed、Tracheal mass、喘息、片頭痛、前庭性片頭痛(各1件)] |
8例12件[セロトニン症候群、Abscess oral、Menorrhagia、片麻痺性片頭痛、Sensory loss、気管支炎、薬物乱用頭痛、片頭痛、手骨折、Lower limb fracture、中耳炎、上咽頭癌第3期(各1件)] |
試験中止に至ったAE |
6例[主な中止理由:疲労(2例)] |
36例[主な中止理由:浮動性めまい(11例)] |
37例[主な中止理由:浮動性めまい(9例)] |
死亡 |
報告なし |
下線 = TE-SAE
太字 = 治験薬との因果関係を否定できないTE-SAE
表8)治療した片頭痛発作ごとにみた、1件以上のTEAEを発現した被験者の割合(二重盲検期)(安全性解析対象集団、治療した片頭痛発作が4回の被験者)[CENTURION(LAIJ)試験]10)
|
1回目の発作 |
2回目の発作 |
3回目の発作 |
4回目の発作 |
プラセボ群 (n=266) |
51(19.2) |
37(13.9) |
27(10.2)a |
―b |
ラスミジタン100mg群 (n=253) |
126(49.8) |
86(34.0) |
78(30.8) |
81(32.0) |
ラスミジタン200mg群 (n=241) |
132(54.8) |
110(45.6) |
92(38.2) |
80(33.2) |
n(%)
a 3または4回目
b 左列に含む
◆非盲検期(中間報告)
治療回数を問わないTEAEの発現割合、治療回数を問わない副作用の発現割合、主な副作用、SAE、試験中止に至ったAE及び死亡は、表9~12の通りです6),7),11)。
4回治療した被験者を対象に、1~4回目の発作に対するTEAEを評価したところ、治療した片頭痛発作ごとにみた、1件以上のTEAEを発現した被験者の割合は、1回目の発作ではラスミジタン群38.0%、4回目の発作では28.7%でした6),7),12)。
表9)治療回数を問わないTEAE及び副作用の発現割合(非盲検期)(安全性解析対象集団)[CENTURION(LAIJ)試験]11)
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ラスミジタン群(n = 401) |
TEAE |
247(61.6) |
副作用 |
215(53.6) |
n(%)
データカットオフ:2020年6月12日
表10)主な副作用一覧(5%以上に発現)(非盲検期)(安全性解析対象集団)[CENTURION(LAIJ)試験]11)
|
ラスミジタン群(n = 401) |
浮動性めまい |
106(26.4) |
錯感覚 |
51(12.7) |
疲労 |
39(9.7) |
悪心 |
34(8.5) |
回転性めまい |
32(8.0) |
傾眠 |
28(7.0) |
無力症 |
21(5.2) |
n(%)、MedDRA/J version 23.0
データカットオフ:2020年6月12日
表11)SAE、試験中止に至ったAE及び死亡(非盲検期)(安全性解析対象集団)[CENTURION(LAIJ)試験]11)
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ラスミジタン群(n = 401) |
SAE |
8例10件[虫垂切除、虫垂癌、事故、節足動物刺傷アレルギー、骨折治療、粉砕骨折、片頭痛、基底細胞癌、卵巣嚢胞捻転、子宮平滑筋腫(各1件)] |
試験中止に至ったAE |
14例[浮動性めまい(6例)、無力症(2例)、不安、運動失調、うつ病、不快感、心拍数不整、回転性めまい(各1例)] |
死亡 |
因果関係が否定されていない死亡例の報告なし |
下線 = TE-SAE
太字 = 治験薬との因果関係を否定できないTE-SAE
データカットオフ:2020年6月12日
表12)治療した片頭痛発作ごとにみた、1件以上のTEAEを発現した被験者の割合(非盲検期)(安全性解析対象集団、治療した片頭痛発作が4回の被験者)[CENTURION(LAIJ)試験]12)
|
1回目の発作 |
2回目の発作 |
3回目の発作 |
4回目の発作 |
ラスミジタン群 (n=237) |
90(38.0) |
71(30.0) |
73(30.8) |
68(28.7) |
n(%)
データカットオフ:2020年6月12日
《有害事象・副作用の定義》
有害事象(TEAE) |
治験薬投与後48時間以内の有害事象。 |
重篤な有害事象(TE-SAE) |
治験薬投与後48時間以内の重篤な有害事象。 |
有害事象(AE) |
割り付け後、試験完了までの期間のすべての有害事象。 |
副作用 |
因果関係の否定できない治験薬投与後48時間以内の有害事象 |
[引用元]
Brandes, JL. et al.:Cephalalgia Rep, 3, 1, 2020(CNS31621)
Ashina, M. et al.:Cephalalgia, 41, 294, 2021(CNS31608)
レイボー申請資料概要(CTD2.5.5.4.2、2.5.6.3)(承認時評価資料)
レイボー審査報告書
レイボー申請資料概要(CTD2.7.6.26.2、付録表2.7.6.26-1、付録表2.7.6.26-2、付録表2.7.6.26-4、2.7.4.2.1.1.3)(承認時評価資料)
社内資料(治験総括報告書GLADIATOR(LAHL)試験)
レイボーインタビューフォーム
レイボー申請資料概要(CTD2.7.6.25.1、表2.7.3.1-1、表2.7.3.1-2)(承認時評価資料)
レイボー申請資料概要(CTD2.7.4.2.1.1.2、表2.7.4.2-16、2.7.4.2.1.4.2、表2.7.4.7-11、2.7.4.2.1.5.2)(承認時評価資料)
レイボー申請資料概要(CTD表2.7.4.2-19)(承認時評価資料)
レイボー申請資料概要(CTD2.7.4.2.1.1.3、表2.7.4.7-10、2.7.4.2.1.4.2、2.7.4.2.1.5.2、表2.7.4.7-13)(承認時評価資料)
レイボー申請資料概要(CTD表2.7.4.7-7)(承認時評価資料)
[略語]
ICH = 医薬品規制調和国際会議
MedDRA/J = ICH国際医薬用語集日本語版
最終更新日: December 2021
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