レイボー ® (ラスミジタンコハク酸塩)
以下は適正使用情報として、本邦における承認事項(用法・用量、適応、剤形など)以外の情報が含まれる場合がございます。薬剤の使用に際しては、製品情報ページにある最新の電子化された添付文書をご確認ください。
レイボー(ラスミジタン)の初回処方時、また2回目以降処方時の用量選択はどうすればよいか?
ラスミジタンは100mgが通常用量ですが、臨床試験における用量ごとの有効性と副作用発現状況を参考に、患者背景、病態、併用薬などを考慮して用量をご選択ください。100mgより高い有効性又は早期の有効性発現が必要な場合は、副作用発現状況を考慮した上で200mgの使用を、100mgの忍容性に懸念がある場合は、50mgの使用を検討してください。
[解説]
ラスミジタンは100 mgが通常用量ですが、臨床試験における用量ごとの有効性と副作用発現状況を参考に、患者さんの背景、病態、併用薬などを考慮して用量を選択してください。100 mgより高い有効性又は早期の有効性発現が必要な場合は、副作用発現状況を考慮した上で200 mgの使用を、100 mgの忍容性に懸念がある場合は、50 mgの使用を検討してください(図1)1)。
図1)ラスミジタンの用量選択フローチャート2)
《初回処方時》
ラスミジタンは、通常、成人には1回100 mgを片頭痛発作時に経口投与します1)。
ただし、副作用発現状況を考慮しても、より早期に高い有効性が必要とされる場合は200 mgの投与をご検討いただけます。また、高齢者や中枢神経抑制剤を使用している患者さん、忍容性に懸念がある場合は、通常用量の半量である50 mgの投与をご検討いただけます。なお、再診時に有効性・安全性の評価を行い、2時間後の頭痛消失が得られていない場合は《2回目以降の処方時》を参考に増量を検討してください2)。
なお、片頭痛患者を対象とした国内第II相臨床試験MONONOFU(LAIH)試験において、TEAEの発現割合はいずれの部分集団でも同程度と考えられ、性別、年齢、体重などによる影響は示されませんでした3)。
《2回目以降の処方時》
ラスミジタンの有効性・安全性は、再診時に、複数回の片頭痛発作をもとに患者さんと一緒に評価してください2)。有効性・安全性評価のためのサポートツール「レイボーはじめてシート」をご用意しています。日常診療にお役立てください。
◆200 mgへの増量
100 mgで有効性が十分得られなかった場合や、できるだけ早い効果の発現又は長期の効果持続を求める場合には、200 mgへの増量を検討できます4)。
MONONOFU(LAIH)試験、及びそのブリッジング対象試験である外国第III相臨床試験SPARTAN(LAHK)試験において、服用2時間後に頭痛消失、頭痛改善及び最も煩わしい随伴症状(MBS)の消失が認められた被験者の割合は、ラスミジタン100 mg及び200 mg群とプラセボ群との間に有意差が認められたものの(p<0.05、ロジスティック回帰モデル)、用量が多いほど頭痛消失の割合が高く、効果発現までの時間は短く、効果の持続時間は長くなりました(図2~4)4)。
図2)頭痛消失が認められた被験者の割合の経時的変化(mITT集団)(MONONOFU[LAIH]試験)2)
***:p<0.001(vs.プラセボ、多重性の調整あり)(検証的な解析結果)
#:p<0.05、###:p<0.001(vs.プラセボ、多重性の調整なし)
説明変数に投与群とベースラインの片頭痛予防薬の使用の有無を含めたロジスティック回帰モデルにおけるWald検定
†付きの項目は、階層的検定手順の実施が事前に規定された項目。数字は検定順(検証的な解析結果)。
図3)頭痛改善が認められた被験者の割合の経時的変化(mITT集団)(MONONOFU[LAIH]試験)2)
***:p<0.001(vs.プラセボ、多重性の調整あり)(検証的な解析結果)
#:p<0.05、###:p<0.001(vs.プラセボ、多重性の調整なし)
説明変数に投与群とベースラインの片頭痛予防薬の使用の有無を含めたロジスティック回帰モデルにおけるWald検定
†付きの項目は、階層的検定手順の実施が事前に規定された項目。数字は検定順(検証的な解析結果)。
図4)頭痛消失の持続(modified)※1が認められた被験者の割合(2時間後:mITT集団、24時間後:ITT集団※2)(MONONOFU[LAIH]試験)2)
***:p<0.001(vs.プラセボ、多重性の調整あり)
##:p<0.01、###:p<0.001(vs.プラセボ、多重性の調整なし)
説明変数に投与群とベースラインの片頭痛予防薬の使用の有無を含めたロジスティック回帰モデルにおけるWald検定
†付きの項目は、階層的検定手順の実施が事前に規定された項目。
数字は検定順(検証的な解析結果)。
※1:片頭痛に対するレスキュー薬又は再発治療薬を用いずに、本薬剤服用2時間後に頭痛が消失し、24時間後の時点でも頭痛の重症度が「消失」又は「軽度」であること。24時間時点の頭痛の重症度の評価結果が得られなかった患者は解析から除外した。
※2:24時間後の頭痛消失は、ITT集団から24時間後の頭痛の重症度の評価結果が得られなかった患者は解析から除外している。このため2時間後のmITT集団よりも例数が少ない。
また、SPARTAN(LAHK)試験又は外国第III相臨床試験SAMURAI(LAHJ)試験から、外国第III相長期安全性試験GLADIATOR(LAHL)試験へ参加した際に100 mgから200 mgに変更された被験者において、100 mg投与時と比較して、200 mg投与時では頭痛消失が増加していたことから、100 mgで有効性が不十分であった患者の一部では、200 mgへの増量によって有効性の改善が期待できると考えられました4)。
なお、ラスミジタンでは、中枢神経抑制作用による用量依存的な神経系障害関連の有害事象(浮動性めまい、傾眠など)の発現が認められていることから4)、200 mgへの増量にあたっては、神経系障害関連の有害事象などの発現にご注意ください。
◆50 mgへの減量
安全性上の問題で100 mg以上の投与が困難な場合には、50 mgへの減量を検討できます4)。
SPARTAN(LAHK)試験において、初回服用2時間後に頭痛消失が認められた被験者の割合(mITT集団)は、ラスミジタン50 mg群とプラセボ群との間に有意差が認められ(副次評価項目、p<0.01。投与群、ベースラインでの予防薬の使用の有無を説明変数としたロジスティック回帰モデル)、MONONOFU(LAIH)試験(副次評価項目)においても同様の傾向が認められました4)。
安全性については、MONONOFU(LAIH)試験(表1)とSPARTAN(LAHK)試験のいずれにおいても、100 mg及び200 mg群と比較して、50 mg群で有害事象の発現割合が低いことが示されました(表1)4)。
表1)主な副作用の一覧(いずれかの群で5%以上に発現)(安全性解析対象集団)(MONONOFU[LAIH]試験)5)
|
プラセボ群 (n=214) |
ラスミジタン50 mg群 (n=87) |
ラスミジタン100 mg群 (n=208) |
ラスミジタン200 mg群 (n=182) |
浮動性めまい |
6例(2.8%) |
18例(20.7%) |
76例(36.5%) |
89例(48.9%) |
傾眠 |
11例(5.1%) |
7例(8.0%) |
43例(20.7%) |
40例(22.0%) |
倦怠感 |
2例(0.9%) |
6例(6.9%) |
23例(11.1%) |
21例(11.5%) |
無力症 |
1例(0.5%) |
5例(5.7%) |
13例(6.3%) |
18例(9.9%) |
感覚鈍麻 |
0例(0.0%) |
1例(1.1%) |
10例(4.8%) |
22例(12.1%) |
悪心 |
4例(1.9%) |
2例(2.3%) |
10例(4.8%) |
15例(8.2%) |
MedDRA/J version 23.0
また、外国第III相臨床試験CENTURION(LAIJ)試験の非盲検期※3において、ラスミジタン100 mgを1回以上投与し、かつ用量を100 mgから1回変更してその用量を継続した被験者又は用量を100 mgから変更せず継続した被験者の計365例のうち、50 mg変更例は42例(11.5%)でした4)。
50 mg変更例の主な変更理由は、有害事象(69.0%)であり、変更の原因となった主な有害事象は、浮動性めまい7例(24.1%)、疲労4例(13.8%)、回転性めまい3例(10.3%)でした。50 mg変更例の85.7%(36/42例)はデータカットオフ時点まで試験を継続し、有害事象が原因で試験を中止した被験者は1例のみでした4)。
※3:データカットオフ:2020年6月12日
なお、SPARTAN(LAHK)試験又はSAMURAI(LAHJ)試験から、GLADIATOR(LAHL)試験へ参加した被験者を対象として、投与量グループ別に検討した初回服用後のTEAEの発現割合は、表2のとおりです6)。
表2)初回服用後のTEAEの発現割合(安全性解析対象集団)(SPARTAN[LAHK]試験及びSAMURAI[LAHJ]試験、GLADIATOR[LAHL]試験)6)
投与量グループ* |
SPARTAN(LAHK)試験/SAMURAI(LAHJ)試験 |
GLADIATOR(LAHL)試験 |
50 mg群-100 mg群(n=159) |
11% |
17% |
50 mg群-200 mg群(n=161) |
13% |
17% |
100 mg群-100 mg群(n=260) |
20% |
10% |
100 mg群-200 mg群(n=262) |
23% |
23% |
200 mg群-100 mg群(n=239) |
23% |
13% |
200 mg群-200 mg群(n=235) |
22% |
16% |
*SPARTAN(LAHK)試験/SAMURAI(LAHJ)試験-GLADIATOR(LAHL)試験
【レイボーの国内における用法及び用量】
通常、成人にはラスミジタンとして1回100 mgを片頭痛発作時に経口投与する。ただし、患者の状態に応じて1回50 mg又は200 mgを投与することができる。
頭痛の消失後に再発した場合は、24時間あたりの総投与量が200 mgを超えない範囲で再投与できる。
【レイボーの用法及び用量に関連する注意】
7.1 本剤は片頭痛発作時のみに使用し、予防的に使用しないこと。
7.2 本剤を投与しても頭痛の消失に至らず継続している発作に対する追加投与の有効性は確立していない。
7.3 本剤投与により全く効果が認められない場合は、その発作に対して追加投与しないこと。このような場合は、再検査の上、頭痛の原因を確認すること。
7.4 用量は、臨床試験における用量ごとの有効性と副作用発現状況を参考に、患者の背景、病態、併用薬等を考慮して選択すること。副作用発現状況を考慮しても100 mgより高い有効性又は早期の有効性発現が必要な場合は200 mgの使用を、100 mgの忍容性に懸念がある場合は50 mgの使用を検討すること。
頭痛消失 |
頭痛の重症度が治験薬服用前の中等度又は重度から消失になること。 |
頭痛改善 |
頭痛の重症度が治験薬服用前の中等度又は重度から消失又は軽度になること。 |
最も煩わしい随伴症状(MBS)の消失 |
治験薬服用前に最も煩わしい随伴症状(MBS)として選択された片頭痛随伴症状(悪心、音過敏、光過敏のいずれか)が消失していること。 |
《評価項目の定義(SPARTAN[LAHK]試験、SAMURAI[LAHJ]試験、GLADIATOR[LAHL]試験)》
頭痛消失 |
頭痛の重症度が治験薬服用前の軽度、中等度又は重度から消失になること。 |
頭痛改善 |
頭痛の重症度が治験薬服用前の中等度又は重度から消失又は軽度になること、もしくは治験薬服用前の軽度から消失になること。 |
最も煩わしい随伴症状(MBS)の消失 |
治験薬服用前に最も煩わしい随伴症状(MBS)として選択された片頭痛随伴症状(悪心、音過敏、光過敏のいずれか)が消失していること。 |
《有害事象の定義》
有害事象(TEAE) |
治験薬投与後48時間以内の有害事象。 |
重篤な有害事象(TE-SAE) |
治験薬投与後48時間以内の重篤な有害事象。 |
有害事象(AE) |
割り付け後、試験完了までの期間のすべての有害事象。 |
《有害事象の定義(CENTURION[LAIJ]試験)》
有害事象(TEAE) |
治験薬投与後48時間以内の有害事象。ただし発現した日時が不明な場合、消失した日時が治験薬服用日時より前でない限り、初回の片頭痛発作に対するtreatment-emergentとして評価した。 |
重篤な有害事象(TE-SAE) |
治験薬投与後48時間以内の重篤な有害事象。ただし発現した日時が不明な場合、消失した日時が治験薬服用日時より前でない限り、初回の片頭痛発作に対するtreatment-emergentとして評価した。 |
有害事象(AE) |
割り付け後、試験完了までの期間のすべての有害事象。 |
【MONONOFU(LAIH)試験の概要・安全性】7) 8)
試験デザイン |
第II相、多施設共同、前向き、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験 |
対象 |
日常生活への支障がある片頭痛を有する日本人成人患者846例 |
方法 |
1回の片頭痛発作に対して、頭痛の重症度が中等度又は重度で改善が認められず、他の片頭痛治療薬を服用していない場合に、治験薬(プラセボ又はラスミジタン50 mg、100 mg、もしくは200 mg)を発作発現後4時間以内に服用した。 |
治療する発作回数 |
1回の片頭痛発作 |
安全性 |
副作用発現頻度は、全ラスミジタン群で67.3%(321/477例)。全ラスミジタン群で最も多い副作用は浮動性めまい38.4%であった。 |
【SPARTAN(LAHK)試験の概要・安全性】9)~11)
試験デザイン |
第III相、多施設共同、前向き、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験 |
対象 |
日常生活への支障がある片頭痛を有する外国人成人患者3005例 |
方法 |
1回の片頭痛発作に対して、頭痛の重症度が中等度又は重度で改善が認められない場合に、治験薬(プラセボ又はラスミジタン50 mg、100 mg、もしくは200 mg)を発作発現後4時間以内に服用した(初回服用)。本試験では1回の片頭痛発作に対して、必要に応じて初回服用2時間後の評価完了後から初回服用後24時間以内に、レスキュー治療又は再発治療のための治験薬の追加服用又は再服用をしても良いこととした(追加服用)。 |
治療する発作回数 |
1回の片頭痛発作 |
安全性 |
副作用発現割合は全ラスミジタン群で31.5%(611/1938例)。全ラスミジタン群で初回服用後の最も多い副作用は浮動性めまい14.5%であった。 |
【SAMURAI(LAHJ)試験の概要・安全性】11)~13)
試験デザイン |
第III相、多施設共同、前向き、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験 |
対象 |
日常生活への支障がある片頭痛を有する外国人成人患者2231例 |
方法 |
1回の片頭痛発作に対して、頭痛の重症度が中等度又は重度で改善が認められない場合に、治験薬(プラセボ又はラスミジタン100 mgもしくは200 mg)を発作発現後4時間以内に服用した(初回服用)。1回の片頭痛発作に対して、必要に応じて初回服用2時間後の評価完了後から初回服用後24時間以内に、レスキュー治療又は再発治療のための治験薬の追加服用又は再服用をしても良いこととした(追加服用)。 |
治療する発作回数 |
1回の片頭痛発作 |
安全性 |
副作用発現頻度は、全ラスミジタン群で35.7%(442/1239例)。全ラスミジタン群で初回服用後の最も多い副作用は浮動性めまい13.6%であった。 |
【GLADIATOR(LAHL)試験の概要・安全性】14) 15)
試験デザイン |
第III相、多施設共同、前向き、無作為化、非盲検、長期投与試験 |
対象 |
日常生活への支障がある片頭痛を有する外国人成人患者2171例(LAHK試験及びLAHJ試験を完了した1355例及び765例を含む) |
方法 |
初回の片頭痛発作に対して、頭痛の重症度が中等度又は重度で改善が認められない場合に、ラスミジタン100 mg又は200 mgを発作発現後4時間以内に服用した。本試験では、服用2時間後の評価完了後から服用後24時間以内に、レスキュー治療又は再発治療のためのラスミジタンの追加服用又は再服用をしても良いこととした。 |
治療する発作回数 |
12ヵ月間の期間中の複数回の片頭痛発作 |
安全性 |
副作用発現頻度は、全ラスミジタン群で41.7%(846/2030例)。全ラスミジタン群で最も多い副作用は浮動性めまい18.1%であった。 |
上記の試験は承認時評価資料ですが、追加投与に関して一部承認外の成績が含まれることをご留意ください。 |
[引用元]
レイボー申請資料概要 CTD2.7.4.5.1.2 (承認時評価資料)
レイボー審査報告書 p80-81
レイボー申請資料概要 CTD表2.7.4.2-23 (承認時評価資料)
Clemow, D. B. et al.: Postgrad Med, 133(4): 449-459, 2021(CNS31655)
レイボー申請資料概要 CTD2.7.6.20.1表2.7.3.1-1 (承認時評価資料)
レイボー申請資料概要 CTD付録表2.7.6.20-2 (承認時評価資料)
レイボー申請資料概要 CTD2.7.6.24.1表2.7.3.1-1 (承認時評価資料)
社内資料(治験総括報告書SPARTAN[LAHK]試験)
レイボー申請資料概要 CTD2.7.6.23.1表2.7.3.1-1 (承認時評価資料)
社内資料(治験総括報告書SAMURAI[LAHJ]試験)
レイボー申請資料概要 CTD2.7.6.26.1表2.7.3.1-2,2.7.3.5.3.1 (承認時評価資料)
レイボー申請資料概要 CTD付録表2.7.6.26-2 (承認時評価資料)
[略語]
ITT = intent-to-treat
MBS = most bothersome symptom(悪心、音過敏及び光過敏に関連した症状から被験者が選択した最も煩わしい症状)
MedDRA/J = ICH(医薬品規制調和国際会議)国際医薬用語集日本語版
mITT = modified intent to treat
最終更新日: July 2024
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