マンジャロ ® (チルゼパチド)
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マンジャロ(チルゼパチド)投与による膵外分泌の安全性は?
膵関連有害事象は、国内第3相試験[GPGO試験(SURPASS J-mono)]で報告された11件のうちチルゼパチド15 mg群の1例で報告された1件が急性膵炎と確定されました 。国内第3相試験[GPGP試験(SURPASS J-combo)]では膵関連有害事象が7件報告されましたが、急性膵炎と確定された事象はありませんでした 。
[解説]
≪GPGO試験(SURPASS J-mono)における膵外分泌の安全性≫
日本人2型糖尿病患者を対象にチルゼパチド投与とデュラグルチド投与を比較検討した国内第3相試験であるGPGO試験(SURPASS J-mono)において、11件の膵関連有害事象が治験担当医師により報告され、臨床事象判定委員会(clinical events committee:CEC)による判定対象となりました。これらの事象はすべて無症候性でした。これら11件のうち、チルゼパチド15 mg群の1例で報告された1件は、CECにより急性膵炎と確定されました1)。
本症例では358 日目に無症候性のリパーゼ増加の有害事象が発現し、リパーゼ値は基準値上限(ULN)の 4.7 倍まで上昇しましたが、同日試験を完了しました。このリパーゼ増加は軽度、非重篤であり、治験担当医師は治験薬との因果関係はないと判断しました。358 日目に実施された CT スキャンの結果、膵臓の異常が示され、387 日目にリパーゼ値は減少してほぼ基準値上限(ULN)に達しましたが、このリパーゼ増加は、CECにより急性膵炎と確定されました1)。
また、GPGO試験(SURPASS J-mono)における血清p-アミラーゼ値及び血清リパーゼ値のベースラインから投与52週時までの変化率は以下の表のとおりでした。
表1)血清p-アミラーゼ値及び血清リパーゼ値のベースラインから投与52週時までの変化率(安全性解析対象集団)[GPGO試験(SURPASS J-mono)]2)
|
チルゼパチド |
チルゼパチド |
チルゼパチド |
デュラグルチド |
p-アミラーゼ値 |
||||
ベースライン(IU/L) |
20.4 |
19.4 |
22.6 |
21.3 |
投与後52週時までの変化率(%) |
40.1 |
42.1 |
41.5 |
24.3 |
リパーゼ値 |
||||
ベースライン(IU/L) |
31.4 |
28.7 |
34.6 |
31.6 |
投与後52週時までの変化率(%) |
37.5 |
44.7 |
43.2 |
26.7 |
対数変換を用いて解析 |
≪GPGP試験(SURPASS J-combo)における膵外分泌の安全性≫
日本人2型糖尿病患者を対象にチルゼパチドと経口血糖降下薬の併用療法について検討した国内第3相試験であるGPGP試験(SURPASS J-combo)において、7件の膵関連有害事象が治験担当医師により報告され、CECによる判定対象となりました。これらの事象はすべて無症候性で、CECにより急性膵炎と確定された事象はありませんでした1)。
また、GPGP試験(SURPASS J-combo)における血清p-アミラーゼ値及び血清リパーゼ値のベースラインから投与52週時までの変化率は以下の表のとおりでした。
表2)血清p-アミラーゼ値及び血清リパーゼ値のベースラインから投与52週時までの変化率(安全性解析対象集団)[GPGP試験(SURPASS J-combo)]3)
|
チルゼパチド5 mg |
チルゼパチド10 mg |
チルゼパチド15 mg |
p-アミラーゼ値 |
|||
ベースライン(IU/L) |
21.0±0.6 |
21.0±0.6 |
21.0±0.6 |
投与後52週時までの変化率(%) |
34.1±3.1 |
40.8±3.3 |
45.7±3.5 |
リパーゼ値 |
|||
ベースライン(IU/L) |
31.6±1.1 |
31.5±1.1 |
32.9±1.2 |
投与後52週時までの変化率(%) |
33.0±4.5 |
37.0±4.7 |
53.6±5.3 |
対数変換を用いて解析 |
[引用元]
マンジャロ申請資料概要CTD2.7.4.4.2.5(承認時評価資料)
Inagaki N, Takeuchi M, Oura T, et al. Efficacy and safety of tirzepatide monotherapy compared with dulaglutide in Japanese patients with type 2 diabetes (SURPASS J-mono): a double-blind, multicentre, randomised, phase 3 trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2022;10(9):623-633.(HMN30759)
Kadowaki T, Chin R, Ozeki A, et al. Safety and efficacy of tirzepatide as an add-on to single oral antihyperglycaemic medication in patients with type 2 diabetes in Japan (SURPASS J-combo): a multicentre, randomised, open-label, parallel-group, phase 3 trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2022;10(9):634-644.(HMN30760)
マンジャロ申請資料概要CTD2.7.6.19.1(承認時評価資料)
マンジャロ申請資料概要CTD2.7.6.20.1(承認時評価資料)
[略語]
CEC=臨床事象判定委員会
SU=スルホニルウレア
SGLT2=ナトリウム・グルコース共役輸送体2
GPGO試験(SURPASS J-mono) 試験概要2,4)
試験デザイン |
第III相、多施設共同、無作為化、実薬対照、二重盲検、並行群間試験 |
対象 |
食事・運動療法で血糖コントロールが不十分な日本人2型糖尿病患者 636例 |
方法 |
チルゼパチドは週1回、52週間皮下投与した。チルゼパチド5 mg群、10 mg群及び15 mg群のいずれでも初回投与量を2.5 mgとし、維持用量に達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ増量し、維持用量を5 mg、10 mg又は15 mgとした。用量漸増期間は最大24週間であり、最も用量漸増期間が長いチルゼパチド15 mg群では、20週間かけてチルゼパチド15 mgまで増量した後に、維持用量を4週間投与して定常状態に到達させた。 デュラグルチドは、0.75 mgを週1回、52週間皮下投与した。 |
GPGP試験(SURPASS J-combo) 試験概要3,5)
試験デザイン |
第III相、多施設共同、無作為化、非盲検、長期投与、併用療法試験 |
対象 |
経口血糖降下薬の単独療法で血糖コントロールが不十分な日本人2型糖尿病患者 443例 |
方法 |
チルゼパチドは週1回、52週間皮下投与した。チルゼパチド5 mg群、10 mg群及び15 mg群のいずれでも初回投与量を2.5 mgとし、維持用量に達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ増量し、維持用量を5 mg、10 mg又は15 mgとした。 チルゼパチドの投与期間中に併用した経口血糖降下薬はスルホニルウレア剤(SU薬)、ビグアナイド系薬剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、速効型インスリン分泌促進剤(グリニド薬)又はSGLT2阻害剤であり、低血糖の発現により用量調整が必要になった場合を除き、一定の投与量を維持した。 |
最終更新日: January 2023
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