マンジャロ ® (チルゼパチド)
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マンジャロ(チルゼパチド)投与による甲状腺関連の安全性は?
雌雄ラットを用いた2年間がん原性試験において、対照群と比較して、甲状腺C細胞腫瘍の発生頻度の増加がみられましたが、rasH2トランスジェニックマウスを用いた6ヵ月間がん原性試験において、甲状腺C細胞の過形成あるいは腫瘍の発生頻度に増加は認められませんでした。また、国内第3相試験においても甲状腺悪性腫瘍及びC細胞過形成は報告されませんでした。
[解説]
雌雄ラットを用いた2年間がん原性試験において、チルゼパチドを0.15、0.50及び1.5 mg/kgの用量(それぞれ最大臨床推奨用量をヒトに皮下投与した際のAUCの0.12、0.36及び1.02倍のAUCをもたらす用量)で週2回皮下投与したところ、対照群と比較して、甲状腺C細胞腫瘍(腺腫及び癌)の発生頻度の増加がすべての用量でみられましたが、rasH2トランスジェニックマウスを用いた6ヵ月間がん原性試験において、チルゼパチドを1、3、及び10 mg/kgの用量で週2回皮下投与したところ、甲状腺C細胞の過形成あるいは腫瘍の発生頻度に増加は認められませんでした1)。また、チルゼパチドのサルを用いた6ヵ月反復投与毒性試験では、甲状腺C細胞への影響は認められませんでした2)。
なお、甲状腺関連の安全性の潜在的リスクを最小限にするため、チルゼパチドの臨床開発プログラム中に以下の措置を行いました2)。
・以下の患者を除外しました。
・甲状腺髄様癌(第2相及び第3相試験では多発性内分泌腺腫症2型)の家族歴又は既往歴を有する患者
・スクリーニング又はベースラインで特定の血清カルシトニン値が認められた患者
・第3相試験では、血清カルシトニン値が35 ng/L以上の患者
・甲状腺髄様癌、乳頭癌を含むすべての甲状腺癌を報告することとしました。
・カルシトニン値のモニタリングを実施しました。規定したカルシトニン値上昇に該当する患者は甲状腺の専門医(不在の場合は内分泌科医)の診察を受け、必要に応じて治験薬の投与を中止することとしました。
また、日本人2型糖尿病患者を対象にチルゼパチド投与とデュラグルチド投与を比較検討した国内第3相試験であるGPGO試験(SURPASS J-mono)及び日本人2型糖尿病患者を対象にチルゼパチドと経口血糖降下薬の併用療法について検討した国内第3相試験であるGPGP試験(SURPASS J-combo)において、甲状腺悪性腫瘍及びC細胞過形成は報告されませんでした2)。
なお、甲状腺髄様癌の既往のある患者及び甲状腺髄様癌又は多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴のある患者に対するチルゼパチドの安全性は確立していませんのでご注意ください1)。
[引用元]
マンジャロ申請資料概要CTD2.7.4.4.2.6(承認時評価資料)
マンジャロ申請資料概要CTD2.7.6.19.1(承認時評価資料)
Inagaki N, Takeuchi M, Oura T, et al. Efficacy and safety of tirzepatide monotherapy compared with dulaglutide in Japanese patients with type 2 diabetes (SURPASS J-mono): a double-blind, multicentre, randomised, phase 3 trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2022;10(9):623-633.(HMN30759)
マンジャロ申請資料概要CTD2.7.6.20.1(承認時評価資料)
Kadowaki T, Chin R, Ozeki A, et al. Safety and efficacy of tirzepatide as an add-on to single oral antihyperglycaemic medication in patients with type 2 diabetes in Japan (SURPASS J-combo): a multicentre, randomised, open-label, parallel-group, phase 3 trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2022;10(9):634-644.(HMN30760)
[略語]
AUC=濃度-時間曲線下面積
SU=スルホニルウレア
SGLT2=ナトリウム・グルコース共役輸送体2
GPGO試験(SURPASS J-mono) 試験概要3,4)
試験デザイン |
第III相、多施設共同、無作為化、実薬対照、二重盲検、並行群間試験 |
対象 |
食事・運動療法で血糖コントロールが不十分な日本人2型糖尿病患者636例 |
方法 |
チルゼパチドは週1回、52週間皮下投与した。チルゼパチド5 mg群、10 mg群及び15 mg群のいずれでも初回投与量を2.5 mgとし、維持用量に達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ増量し、維持用量を5 mg、10 mg又は15 mgとした。用量漸増期間は最大24週間であり、最も用量漸増期間が長いチルゼパチド15 mg群では、20週間かけてチルゼパチド15 mgまで増量した後に、維持用量を4週間投与して定常状態に到達させた。 デュラグルチドは、0.75 mgを週1回、52週間皮下投与した。 |
GPGP試験(SURPASS J-combo) 試験概要5,6)
試験デザイン |
第III相、多施設共同、無作為化、非盲検、長期投与、併用療法試験 |
対象 |
経口血糖降下薬の単独療法で血糖コントロールが不十分な日本人2型糖尿病患者 443例 |
方法 |
チルゼパチドは週1回、52週間皮下投与した。チルゼパチド5 mg群、10 mg群及び15 mg群のいずれでも初回投与量を2.5 mgとし、維持用量に達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ増量し、維持用量を5 mg、10 mg又は15 mgとした。 チルゼパチドの投与期間中に併用した経口血糖降下薬はスルホニルウレア(SU薬)、ビグアナイド系薬剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、速効型インスリン分泌促進剤(グリニド薬)又はSGLT2阻害剤であり、低血糖の発現により用量調整が必要になった場合を除き、一定の投与量を維持した。 |
最終更新日: September 2022
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