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ケサンラ(ドナネマブ)の臨床試験で用いられているiADRS(integrated Alzheimer's Disease Rating Scale)とは?iADRSを主要評価項目とした理由は?


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iADRSは、イーライリリー・アンド・カンパニーが開発した、アルツハイマー病の手段的日常生活機能及び認知機能を評価する統合評価尺度です。アルツハイマー病によるMCIから中等度の認知症までの臨床的進行、並びにアルツハイマー病によるMCI及び軽度の認知症に対する治療効果を評価することができ、バリデーション済みです。これらのことから、ドナネマブの有効性を評価した臨床試験(AACG試験、AACI試験)では、iADRSを主要評価項目としました。

[解説]

iADRSintegrated Alzheimer's Disease Rating Scale)は、イーライリリー・アンド・カンパニーが開発したアルツハイマー病の手段的日常生活機能及び認知機能を評価する統合評価尺度で1,2)、これまで複数の臨床試験でアルツハイマー病に関連する薬剤の有効性を評価する指標として用いられています3)


iADRSは、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)から中等度の認知症までの臨床的進行、並びにアルツハイマー病によるMCI及び軽度の認知症に対する治療効果を評価することができます2,4-6)iADRSはバリデーション済みであり7)、その統計的特性が示されています2)。また、臨床的に意義のある最小変化量の推定値が定義されているほか2,8)、介護者の負担やQOLなどとの関連性も示されています2,3)


これらのことから、ドナネマブの海外第Ⅱ相試験TRAILBLAZER-ALZAACG)試験1注)、国際共同第相試験TRAILBLAZER-ALZ 2AACI)試験1注)では、主要評価項目をiADRSとしました2)

ドナネマブの申請に際し、患者報告アウトカムの測定のための米国食品医薬品局(FDA)ガイダンス(FDA20099)に従い、iADRS及びその主要評価項目としての有用性を検証しました2


なお、iADRSは臨床現場での使用を目的として開発されたものではありません1)


iADRSの概要》1,2,10)

iADRSは、ADCS-iADL(手段的日常生活機能)2及びADAS-Cog13(認知機能)3から構成され、認知機能の低下が日常生活の遂行能力に及ぼす影響を1つの統合スコアとして、アルツハイマー病の連続性を有する変化の観点から総合的な疾患の重症度を測定する評価尺度です。

合計スコアは0から144の範囲をとり、スコアが低いほど障害の程度がより大きいことを示します。

手段的日常生活機能と認知機能の2つの領域を統合するiADRSは、各領域の共通性がある(同時期かつ同程度の変化がみられる)項目を捉えることで、各領域に存在しうる疾患進行に関連しないノイズ(変化)の影響を最小限に抑えることができます。


1 AACG試験及びAACI試験のドナネマブ群では、ドナネマブを最初の3回は1700mg、以降は11400mg4週間隔で静脈内投与した(初回承認時の用法及び用量)。

2 ADCS-iADLは、アルツハイマー病の日常生活動作(ADL)の評価スコアであるADCS-ADL23項目)から早期の症候性アルツハイマー病に関連する項目を抜粋したもの。18項目、合計スコアは0から59の範囲をとり、スコア低値は障害の程度がより大きい。

3 ADAS-Cog13は、アルツハイマー病の認知機能を評価するスケール。13項目、合計スコアは0から85の範囲をとり、スコア高値は障害の程度がより大きい。


注)ドナネマブの用法及び用量は「通常、成人にはドナネマブ(遺伝子組換え)として初回は350mg2回目は700mg3回目は1050mg、その後は11400mg4週間隔で、少なくとも30分かけて点滴静注する。」です。


上記の試験について一部承認外の成績が含まれますが、承認時評価資料のためご紹介しています。



[引用元]

  1. Wessels AM, et al.: Neurol Clin Pract. 2023; 13: e200127CNS31776

  2. ケサンラ申請資料概要(20249月承認CTD2.7.3.1.1.1.3.1.1)(承認時評価資料)

  3. Wessels AM, et al.: J Alzheimers Dis. 2022; 88: 577-588CNS31731

  4. Honig LS, et al.: N Engl J Med. 2018; 378: 321-330CNS31732

  5. Wessels AM, et al.: JAMA Neurol. 2020; 77: 199-209CNS31733

  6. Mintun MA, et al.: N Engl J Med. 2021; 384: 1691-1704CNS31697

  7. Wessels AM, et al.: J Prev Alzheimers Dis. 2015; 2: 227-241CNS31734

  8. Wessels AM, et al.: Alzheimers Dement (NY). 2022; 8: e12312CNS31735

  9. FDA. Guidance for Industry. Patient-reported outcome measures: use in medical product development to support labeling claims. December 2009. https://www.fda.gov/media/77832/download (最終アクセス日:2025815日閲覧)

  10. ケサンラ電子添文



[略語]

ADAS-Cog13=アルツハイマー病評価尺度認知下位尺度

ADCS-iADL=手段的日常生活動作能力の評価尺度

ADL=日常生活動作

iADRSADCS-iADL(手段的日常生活機能)及びADAS-Cog13(認知機能)から構成され、アルツハイマー病の連続性を有する変化の観点から総合的な疾患の重症度を測定する評価尺度

FDA米国食品医薬品局

MCI=軽度認知障害

QOL=生活の質


最終更新日: August 2025

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