ゼップバウンド ® (チルゼパチド)
以下は適正使用情報として、本邦における承認事項(用法・用量、適応、剤形など)以外の情報が含まれる場合がございます。薬剤の使用に際しては、製品情報ページにある最新の電子化された添付文書をご確認ください。
ゼップバウンド(チルゼパチド)の相互作用は?
チルゼパチドは、糖尿病用薬との併用により血糖降下作用が増強されることから、糖尿病用薬を併用注意としています。チルゼパチドと糖尿病用薬との併用時には、低血糖症の発現にご注意ください。特にスルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがありますので、併用する場合、これらの薬剤の減量をご検討ください。また、チルゼパチドは胃内容物排出遅延作用があるため、経口避妊薬及びクマリン系薬剤(ワルファリンカリウム)を併用注意としています。
[解説]
≪糖尿病用薬≫
チルゼパチドは、糖尿病用薬(ビグアナイド系薬剤、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害剤、インスリン製剤、SGLT2阻害剤等)との併用により血糖降下作用が増強されることから、糖尿病用薬を併用注意としています1)。
チルゼパチドと糖尿病用薬との併用時には、低血糖の発現にご注意ください。特にスルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあります。これらの薬剤と併用する場合、低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤の減量をご検討ください1)。
≪経口避妊薬≫
チルゼパチドは胃内容物排出遅延作用があることから、経口避妊薬を併用注意としています。特に投与開始初期又は漸増後初期では併用する経口避妊薬の効果を減弱させるおそれがあります1)。
≪クマリン系薬剤(ワルファリンカリウム)≫
チルゼパチドは胃内容物排出遅延作用があることから、クマリン系薬剤(ワルファリンカリウム)を併用注意としています。GLP-1受容体作動薬との併用によりワルファリンのtmaxが遅延したとの報告があり、エキセナチドで出血を伴うINR増加が報告されています1)。
≪他剤との併用データ≫
チルゼパチドと経口避妊薬又はアセトアミノフェンを併用した薬物相互作用試験の結果を表1に示します(外国人データ)。
表1)チルゼパチドと経口避妊薬又はアセトアミノフェンを併用した薬物相互作用試験の結果1)
併用薬 |
チルゼパチド投与量 |
チルゼパチド 投与 |
例数 |
併用薬に対する影響 |
||
Cmax比 [信頼区間] |
AUC比 [信頼区間] |
tmax差(hr) [信頼区間] |
||||
健康成人女性にチルゼパチドを単回投与 |
||||||
経口避妊薬注1) |
||||||
ノルエルゲストロミン注2) |
5 mg |
単回 |
25/25 |
0.45 [0.40,0.51] |
0.78 [0.71,0.84] |
4.50 [1.50,5.00] |
エチニルエストラジオール |
24/24 |
0.41 [0.36,0.47] |
0.79注3) [0.73,0.85] |
4.23 [1.50,6.50] |
||
2型糖尿病患者にチルゼパチドを週1回反復投与 |
||||||
アセトアミノフェン 1 g注4) |
0.5 mg注5) |
1回目 |
9/11 |
1.10 [0.83,1.45] |
1.11 [0.88,1.39] |
0.00 [-1.00,1.00] |
4回目 |
9/11 |
1.15 [0.87,1.52] |
1.09 [0.87,1.37] |
-0.17 [-1.00,1.00] |
||
5 mg |
1回目 |
8/11 |
0.50 [0.37,0.66] |
0.75 [0.59,0.95] |
1.00 [0.00,2.25] |
|
4回目 |
6/11 |
0.92 [0.67,1.26] |
1.05 [0.82,1.36] |
0.83 [-1.00,2.00] |
||
10 mg 注6) |
4回目 |
11/11 |
0.64 [0.49,0.83] |
1.04 [0.84,1.29] |
1.00 [0.00,2.00] |
|
15 mg 注7) |
4回目 |
10/11 |
0.60 [0.46,0.79] |
1.07 [0.86,1.33] |
1.00 [1.00,2.00] |
|
2型糖尿病を有するBMIが27kg/m2以上の患者にチルゼパチドを週1回反復投与 |
||||||
アセトアミノフェン 1 g注8) |
5 mg |
1回目 |
18/18 |
0.44 [0.36,0.53] |
0.88 [0.77,1.00] |
0.25 [0.00,2.28] |
15 mg 注9) |
6回目 |
15/18 |
0.57 [0.47,0.70] |
1.08 [0.94,1.25] |
0.50 [0.25,1.25] |
|
BMIが27kg/m2以上の患者(糖尿病患者を除く)にチルゼパチドを週1回反復投与 |
||||||
アセトアミノフェン 1 g注8) |
5 mg |
1回目 |
18/18 |
0.45 [0.38,0.55] |
0.89 [0.78,1.01] |
1.50 [0.25,2.50] |
15 mg 注9) |
6回目 |
15/18 |
0.80 [0.66,0.98] |
1.23 [1.07,1.42] |
0.50 [0.00,1.00] |
例数:チルゼパチド併用投与時/チルゼパチド非投与時
AUC:経口避妊薬はAUC(0-τ)、アセトアミノフェンはAUC(0-last)
Cmax比及びAUC比:プラセボ群に対するチルゼパチド群の最小二乗幾何平均値の比
tmax差:プラセボ群に対するチルゼパチド群の中央値の差
信頼区間:90%信頼区間[2型糖尿病患者(過体重又は肥満を有しない)を対象とした試験のアセトアミノフェンは95%信頼区間]
注1)ノルゲスチメート0.25 mg(国内未承認)、エチニルエストラジオール0.035 mg
注2)ノルゲスチメートの活性代謝物
注3)例数:21/21
注4)アセトアミノフェンは、チルゼパチド初回投与24時間後及びチルゼパチド4回目投与24時間後に投与された
注5)国内未承認
注6)チルゼパチド5、5、10、10 mgの順に週1回投与
注7)チルゼパチド5、5、10、15 mgの順に週1回投与
注8)アセトアミノフェンは、チルゼパチド初回投与24時間後及びチルゼパチド6回目投与24時間後に投与された
注9)チルゼパチド5、5、10、10、10、15 mgの順に週1回投与
※本剤の承認された用法・用量は以下のとおりです。
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5mgから開始し、4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、週1回10mgを皮下注射する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5mgずつ週1回15mgまで増量できる。
[引用元]
※引用元資料の入手をご希望の場合は上記のリンクをクリックし請求して下さい。
[略語]
DPP-4=ジペプチジルペプチダーゼ4
SGLT2=ナトリウム・グルコース共役輸送体2
GLP-1=グルカゴン様ペプチド-1
INR=国際標準比
Cmax=最高濃度
AUC0-τ=1投与間隔における濃度‐時間曲線下面積
AUC0-last=0時間から最終測定時までの濃度‐時間曲線下面積
tmax=最高濃度到達時間
最終更新日: January 2025
お探しの情報が見つからない場合は、こちら よりお問い合わせください。