ゼップバウンド ® (チルゼパチド)
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ゼップバウンド(チルゼパチド)投与による低血糖の発現状況は?
国内第3相試験であるGPHZ試験(SURMOUNT-J)、国際共同第3相試験であるGPHK試験(SURMOUNT-1)およびGPHL試験(SURMOUNT-2)における低血糖の発現状況は以下のとおりでした。
[解説]
本試験には一部承認効能又は効果と異なる成績が含まれますが、承認時評価資料であるため掲載します。
国内及び国際共同第3相試験における低血糖の発現状況は以下のとおりでした。
≪GPHZ試験(SURMOUNT-J)における低血糖の発現状況≫
BMIが27 kg/m2以上35 kg/m2未満で肥満に関連する健康障害※1を2つ以上有する、又はBMIが35 kg/m2以上で肥満に関連する健康障害※1を1つ以上有する日本人肥満症患者を対象※2にチルゼパチド投与とプラセボ投与を比較した国内第3相試験であるGPHZ試験(SURMOUNT-J)において、重症低血糖は認められませんでした1)。
また、GPHZ試験(SURMOUNT-J)における血糖値54 mg/dL未満の低血糖発現割合は表1、2に示すとおりであり、すべて無症候性で、OGTT中に起こっていました2)。
表1)血糖値54 mg/dL未満の低血糖の発現割合(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])[GPHZ試験(SURMOUNT-J)]2)
全体 |
チルゼパチド (N=73) |
チルゼパチド
(N=77) |
プラセボ (N=75) |
血糖値<54 mg/dL |
4(5.48) |
7(9.09) |
1(1.33) |
発現例数(%)
表2)血糖値54 mg/dL未満の低血糖の発現割合(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])(IGT集団)[GPHZ試験(SURMOUNT-J)]2)
IGT集団 |
チルゼパチド (N=45) |
チルゼパチド
(N=48) |
プラセボ (N=51) |
血糖値<54 mg/dL |
3(6.67) |
6(12.50) |
0 |
発現例数(%)
≪GPHK試験(SURMOUNT-1)における低血糖の発現状況≫
2型糖尿病を有しない、肥満又は体重に関連する併存疾患を有する過体重の治験参加者を対象※2に、チルゼパチド投与とプラセボ投与を比較した国際共同第3相試験であるGPHK試験(SURMOUNT-1)において、チルゼパチド5mg※3が投与された1例(0.05%)に重症低血糖1件が認められました。本事象は入院時に発現し、本治験参加者は急性肝不全を含む多臓器不全により死亡しました3)。
また各チルゼパチド群での低血糖の76%(26/34件)は、低血糖症状の報告がありませんでした4)。
GPHK試験(SURMOUNT-1)における血糖値54 mg/dL未満の低血糖発現割合は表3に示すとおりでした。
表3)血糖値54 mg/dL未満の低血糖の発現割合(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])[GPHK試験(SURMOUNT-1)]4)
|
チルゼパチド (N=624) |
チルゼパチド (N=628) |
チルゼパチド (N=628) |
プラセボ (N=637) |
血糖値<54 mg/dL |
9(1.44) |
10(1.59) |
10(1.59) |
1(0.16) |
発現例数(%) |
≪GPHL試験(SURMOUNT-2)における低血糖の発現状況≫
2型糖尿病を有する、肥満又は過体重の治験参加者を対象※2に、チルゼパチド投与とプラセボ投与を比較した国際共同第3相試験であるGPHL試験(SURMOUNT-2)において、重症低血糖は認められませんでした5)。
ベースライン時にSU薬を併用し、投与開始後に発現した血糖値54 mg/dL未満の低血糖の発現割合は表4に示すとおりでした。
ベースライン時にSU薬を併用せず、投与開始後に発現した血糖値54 mg/dL未満の低血糖の発現割合は表5に示すとおりでした。
表4)ベースライン時にSU薬を併用し、投与開始後に発現した血糖値54 mg/dL未満の低血糖の発現割合(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])[GPHL試験(SURMOUNT-2)]6)
|
チルゼパチド (N=76) |
チルゼパチド
(N=78) |
プラセボ (N=94) |
血糖値<54 mg/dL |
7(9.21) |
9(11.54) |
3(3.19) |
発現例数(%) |
表5)ベースライン時にSU薬を併用せず、投与開始後に発現した血糖値54 mg/dL未満の低血糖の発現割合(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])[GPHL試験(SURMOUNT-2)]6)
|
チルゼパチド (N=226) |
チルゼパチド
(N=225) |
プラセボ (N=213) |
血糖値<54 mg/dL |
4(1.77) |
6(2.67) |
1(0.47) |
発現例数(%) |
※1
|
本試験における健康障害の定義 |
耐糖能異常 |
空腹時血糖値又は0時間経口ブドウ糖負荷試験(OGTT) 110~125 mg/dL、もしくは2時間 OGTT 140~199 mg/dLであり、糖尿病の診断基準を満たさず、糖尿病診療ガイドライン2019で「境界型」として記述される血糖範囲 |
脂質異常症 |
トリグリセリド150 mg/dL以上 |
非アルコール性脂肪性肝疾患 |
肝臓脂肪含有率(HFF) 5%以上 |
※2
チルゼパチドの承認された効能又は効果は「肥満症」である。ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27 kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35 kg/m2以上
※3
チルゼパチドの承認された用法及び用量・用法及び用量に関連する注意は以下のとおりです。
6. 用法及び用量
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5mgから開始し、4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、週1回10mgを皮下注射する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5mgずつ週1回15mgまで増量できる。
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)
7.1本剤の用量調節に際しては、以下の点に留意すること。
・患者の体重減少の程度や本剤に対する忍容性に応じて、週1回5mgで治療を継続することも考慮すること。
[引用元]
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.4.4.2.10.3.1(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.4.4.2.10.4.1(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.5.5.2.3.7(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.4.4.2.10.4.2(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.4.4.2.10.3.3(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.4.4.2.10.4.3(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.9.1(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.10.1(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.11.1(承認時評価資料)
[略語]
BMI=body mass index
IGT=耐糖能異常
OGTT=経口ブドウ糖負荷試験
SU=スルホニルウレア
GPHZ試験(SURMOUNT-J) 試験概要7)
試験デザイン |
第3相、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験 |
対象注1) |
BMIが27 kg/m2以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害*を有する又はBMIが35 kg/m2以上で1つ以上の肥満に関連する健康障害*を有する肥満症患者225例(GCP違反が認められた実施医療機関で無作為割付された42例を除く)。なお、糖尿病患者は除外された。
* 組み入れ基準では、耐糖能異常(空腹時血糖110~125 mg/dL又は75 g経口ブドウ糖負荷試験の血糖2時間値140~199 mg/dL)、脂質異常症(空腹時トリグリセリド150 mg/dL以上)又は非アルコール性脂肪性肝疾患(肝臓脂肪含有率5%以上)とした。 |
方法 |
チルゼパチド10 mg、15 mg又はプラセボを週1回72週間皮下投与した。チルゼパチドはいずれの投与群でも最初の4週間は初回投与量の2.5 mgで週1回投与し、その後割り付けられた用量に到達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ漸増した。用量漸増期間は最長20週であった。 体重管理のための低カロリー食及び運動量の増加を併せて実施した。 |
GPHK試験(SURMOUNT-1) 試験概要8)
試験デザイン |
第3相、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験 |
対象注1) |
BMIが27 kg/m2以上で高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸又は心血管疾患のいずれかを有する治験参加者もしくはBMIが30 kg/m2以上の治験参加者2517例(日本人102例)(GCP違反が認められた実施医療機関で無作為割付された22 例を除く)。なお、糖尿病患者は除外された。 |
方法注2) |
チルゼパチド5 mg、10 mg、15 mg又はプラセボを週1回72週間皮下投与した。チルゼパチドはいずれの投与群でも最初の4週間は初回投与量の2.5 mgで週1回投与し、その後割り付けられた用量に到達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ漸増した。用量漸増期間は最長20週であった。 体重管理のための低カロリー食及び運動量の増加を併せて実施した。 |
GPHL試験(SURMOUNT-2) 試験概要9)
試験デザイン |
第3相、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験 |
対象注1) |
2型糖尿病を有するBMIが27.0 kg/m2以上の治験参加者912例(日本人41例)(GCP違反が認められた実施医療機関で無作為割付された26 例を除く) |
方法 |
チルゼパチド10 mg、15 mg又はプラセボを週1回72週間皮下投与した。チルゼパチドはいずれの投与群でも最初の4週間は初回投与量の2.5 mgで週1回投与し、その後割り付けられた用量に到達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ漸増した。用量漸増期間は最長20週であった。 体重管理のための低カロリー食及び運動量の増加を併せて実施した。 |
注1)チルゼパチドの承認された効能又は効果は「肥満症」である。ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27 kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35 kg/m2以上
注2)チルゼパチドの承認された用法及び用量・用法及び用量に関連する注意は以下のとおりです。
6. 用法及び用量
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5mgから開始し、4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、週1回10mgを皮下注射する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5mgずつ週1回15mgまで増量できる。
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)
7.1本剤の用量調節に際しては、以下の点に留意すること。
・患者の体重減少の程度や本剤に対する忍容性に応じて、週1回5mgで治療を継続することも考慮すること。
最終更新日: December 2024
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