ゼップバウンド ® (チルゼパチド)
以下は適正使用情報として、本邦における承認事項(用法・用量、適応、剤形など)以外の情報が含まれる場合がございます。薬剤の使用に際しては、製品情報ページにある最新の電子化された添付文書をご確認ください。
ゼップバウンド(チルゼパチド)はどの部位の脂肪が減少させるのか ?
GPHZ試験において、その他の副次評価項目である投与72週時の内臓脂肪組織(VAT)及び皮下脂肪組織(SAT)の平均変化率、並びにVAT/SAT比の平均変化量は、チルゼパチド10 mg群及び15 mg群でプラセボ群と比較して統計学的に有意に減少しました。 また、GPHK試験の二重エネルギーX線吸収測定法補遺において、評価項目である投与72週時の全身体脂肪量の平均変化率は、チルゼパチドの用量併合群でプラセボ群と比較して統計学的に有意に大きくなりました(参考情報)。
[解説]
本試験には一部承認効能又は効果と異なる成績が含まれますが、承認時評価資料であるため掲載します。
BMIが27 kg/m2以上35 kg/m2未満で肥満に関連する健康障害※1を2つ以上有する、又はBMIが35 kg/m2以上で肥満に関連する健康障害※1を1つ以上有する日本人肥満症患者を対象※2に、チルゼパチド投与とプラセボ投与を比較した国内第3相試験であるGPHZ試験(SURMOUNT−J)において、その他の副次評価項目である投与72週時の内臓脂肪組織(VAT)及び皮下脂肪組織(SAT)の平均変化率、並びにVAT/SAT比の平均変化量は、チルゼパチド10 mg群及び15 mg群でプラセボ群と比較して統計学的に有意に減少しました(いずれもp<0.01、ANCOVA、第1種の過誤の確率を制御していない項目)1,2)。
表1)VAT、SAT、及びVAT/SAT比のベースラインから投与72週時までの変化率及び変化量
(mITT解析対象集団、EAS[GCP違反例を除く])[GPHZ試験(SURMOUNT−J)]1,2)
|
チルゼパチド10 mg (N=73) |
チルゼパチド15 mg (N=77) |
プラセボ
(N=75) |
VAT(cm2) |
|||
ベースラインa) |
232.4 |
236.3 |
237.0 |
投与72週時までの変化率b) |
−39.4††† |
−44.5††† |
−3.4 |
プラセボ群との群間差 (95%CI)c) |
−36.1### (−42.9, −29.3) |
−41.1### (−47.8, −34.4) |
− |
SAT(cm2) |
|||
ベースラインa) |
307.5 |
313.4 |
323.9 |
投与72週時までの変化率b) |
−32.2††† |
−36.5††† |
−5.0† |
プラセボ群との群間差 (95%CI)c) |
−27.2### (−32.6, −21.9) |
−31.5### (−36.7, −26.2) |
− |
VAT/SAT比 |
|||
ベースラインa) |
0.83 |
0.86 |
0.84 |
投与72週時までの変化量b) |
−0.09††† |
−0.08††† |
0.01 |
プラセボ群との群間差(95%CI)c) |
−0.10# (−0.16, −0.03) |
−0.09## (−0.15, −0.03) |
− |
注)ベースライン値が欠測せず、かつベースライン後の反応変数が1つ以上欠測していない患者のみを解析対象とした。
b)LOCFで欠測値を補完した。最小二乗平均、ANCOVAによる推定値
c)LOCFで欠測値を補完した。最小二乗平均の差、ANCOVAによる推定値
エンドポイント測定値のANCOVAモデル:変数=ベースライン+スクリーニング時のIGTの有無+スクリーニング時の脂質異常症の有無+スクリーニング時のNAFLDの有無+性別+投与群(III型二乗和)。
# p=0.0040、## p=0.0063 vs.プラセボ群(第1種の過誤の確率を制御していない項目)
### p<0.001 vs.プラセボ群(第1種の過誤の確率を制御していない項目)
† p<0.05、††† p<0.001 vs.ベースライン
また、2型糖尿病を有しない、肥満又は体重に関連する併存疾患を有する過体重の治験参加者を対象※2に、チルゼパチドとプラセボ投与を比較した国際共同第3相試験であるGPHK試験(SURMOUNT−1)*の二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)補遺において、全身体脂肪量のベースラインからの変化率を評価しました3)。
DXA補遺における評価項目である投与72週時における全身体脂肪量のベースラインからの平均変化率は、チルゼパチド5 mg※3、10 mg、及び15 mgの用量併合群でプラセボ群と比較して統計学的に有意に大きくなりました(p<0.001、LOCFによる欠損値の代入を用いたANCOVA、第1種の過誤の確率を制御していない項目)3,4)(参考情報)。
表2)投与72週時の全身体脂肪量の変化率
(mITT解析対象集団、EAS、DXA補遺)[GPHK試験(SURMOUNT−1)]3)
|
チルゼパチド (N=124) |
プラセボ (N=36) |
ベースライン(kg)a) |
46.6 |
49.4 |
投与72週時までの変化率b) |
−33.9 |
−8.2 |
プラセボ群との群間差c) (95%CI) |
−25.7*** (−31.4, −20.0) |
− |
b)LOCFで欠測値を補完した。最小二乗平均、ANCOVAによる推定値
c)LOCFで欠測値を補完した。最小二乗平均の差、ANCOVAによる推定値
*** p<0.001 vs.プラセボ群(第1種の過誤の確率を制御していない項目)
≪GPHK試験(SURMOUNT−1)*における有効性≫
GPHK試験(SURMOUNT−1)において主要評価項目であるベースラインから投与72週時までの体重の平均変化率及び5%以上の体重減少を達成した治験参加者の割合の両方で、いずれのチルゼパチド群でもプラセボ群と比較して優越性を示しました(p<0.001)4)。
表3)体重のベースラインから投与72週時までの変化率及び5%以上の体重減少を達成した治験参加者の割合(mITT集団、EAS[GCP違反例を除く])[GPHK試験(SURMOUNT−1)]4)
|
チルゼパチド10 mg |
チルゼパチド15 mg |
プラセボ |
ベースラインの体重(kg)a) |
106.2 |
105.6 |
104.9 |
投与72週時の体重変化率(%)b) |
-21.4††† |
-22.5††† |
-2.5††† |
プラセボ群との群間差 (95%CI)b) |
-18.9*** (-20.0, -17.8) |
-20.1*** (-21.2, -18.9) |
- |
5%以上の体重減少達成割合(%)c) |
96.30*** |
96.31*** |
28.14 |
a)最小二乗平均
b)最小二乗平均、MMRMによる推定値
c)MMRMによる欠損値の代入を用いたロジスティック回帰分析を用いて解析
*** p<0.001 vs.プラセボ群(第1種の過誤の確率を制御した項目)
††† p<0.001 vs.ベースライン
≪GPHK試験(SURMOUNT−1)*における安全性(後観察期間を含む)≫
GPHK試験(SURMOUNT−1)における有害事象の概要は表4に示すとおりでした。
表4)有害事象の概要(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])[GPHK試験(SURMOUNT−1)]3)
カテゴリーa) |
チルゼパチド5 mg※3 |
チルゼパチド10 mg |
チルゼパチド15 mg |
プラセボ |
治療関連有害事象 |
505(80.9) |
514(81.8) |
495(78.8) |
458(71.9) |
副作用b) |
347(55.6) |
391(62.3) |
384(61.1) |
194(30.5) |
重篤な有害事象 |
39(6.3) |
42(6.7) |
32(5.1) |
44(6.9) |
死亡 |
4(0.6) |
1(0.2) |
1(0.2) |
4(0.6) |
試験中止に至った |
14(2.2) |
16(2.5) |
21(3.3) |
16(2.5) |
治験薬投与中止に至った有害事象 |
28(4.5) |
44(7.0) |
40(6.4) |
20(3.1) |
a)複数のカテゴリーに数えられる場合あり 発現例数(発現割合%)
b)治験薬との因果関係が否定できない有害事象
主な有害事象は表5に示すとおりでした。
表5)いずれかの投与群で発現割合が5%以上の有害事象(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])[GPHK試験(SURMOUNT−1)]3)
|
チルゼパチド5 mg※3 |
チルゼパチド10 mg |
チルゼパチド15 mg |
プラセボ |
悪心 |
154(24.7) |
210(33.4) |
195(31.1) |
61(9.6) |
下痢 |
118(18.9) |
134(21.3) |
144(22.9) |
46(7.2) |
COVID-19 |
94(15.1) |
98(15.6) |
82(13.1) |
90(14.1) |
便秘 |
104(16.7) |
109(17.4) |
74(11.8) |
37(5.8) |
消化不良 |
56(9.0) |
61(9.7) |
70(11.1) |
26(4.1) |
嘔吐 |
52(8.3) |
68(10.8) |
77(12.3) |
11(1.7) |
食欲減退 |
59(9.5) |
73(11.6) |
54(8.6) |
21(3.3) |
頭痛 |
41(6.6) |
43(6.8) |
41(6.5) |
42(6.6) |
腹痛 |
31(5.0) |
33(5.3) |
31(4.9) |
21(3.3) |
脱毛症 |
32(5.1) |
31(4.9) |
36(5.7) |
6(0.9) |
浮動性めまい |
26(4.2) |
35(5.6) |
26(4.1) |
15(2.4) |
おくび |
24(3.8) |
33(5.3) |
35(5.6) |
4(0.6) |
注射部位反応 |
18(2.9) |
36(5.7) |
29(4.6) |
2(0.3) |
MedDRA/J ver24.1 発現例数(発現割合%)
※1
|
本試験における健康障害の定義 |
耐糖能異常 |
空腹時血糖値又は0時間経口ブドウ糖負荷試験(OGTT) 110~125 mg/dL、もしくは2時間 OGTT 140~199 mg/dLであり、糖尿病の診断基準を満たさず、糖尿病診療ガイドライン2019で「境界型」として記述される血糖範囲 |
脂質異常症 |
トリグリセリド150 mg/dL以上 |
非アルコール性脂肪性肝疾患 |
肝臓脂肪含有率(HFF) 5%以上 |
チルゼパチドの承認された効能又は効果は「肥満症」である。ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27 kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35 kg/m2以上
チルゼパチドの承認された用法及び用量・用法及び用量に関連する注意は以下のとおりです。
6. 用法及び用量
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5 mgから開始し、4週間の間隔で2.5 mgずつ増量し、週1回10 mgを皮下注射する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5 mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5 mgずつ週1回15 mgまで増量できる。
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)
7.1本剤の用量調節に際しては、以下の点に留意すること。
・患者の体重減少の程度や本剤に対する忍容性に応じて、週1回5mgで治療を継続することも考慮すること。
[引用元]
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.3.2.1.1.4.3(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.10.2(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.3.2.1.2.4.1(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.9.1(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.10.1(承認時評価資料)
※引用元資料の入手をご希望の場合は上記のリンクをクリックし請求して下さい。
[略語]
BMI=body mass index
COVID-19=新型コロナウイルス感染症
EAS=efficacy analysis set
GCP=医薬品の臨床試験の実施の基準
ICH=医薬品規制調和国際会議
LOCF=last observation carried forward
MedDRA=ICH国際医薬用語集
mITT=modified intent−to−treat
MMRM(mixed model for repeated measures)=繰り返し測定値に関する混合効果モデル
GPHZ試験(SURMOUNT-J) 試験概要1,5)
試験デザイン |
第3相、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験 |
対象注1) |
BMIが27 kg/m2以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害*を有する又はBMIが35 kg/m2以上で1つ以上の肥満に関連する健康障害*を有する肥満症患者225例(GCP違反が認められた実施医療機関で無作為割付された42例を除く)。なお、糖尿病患者は除外された。
* 組み入れ基準では、耐糖能異常(空腹時血糖110~125 mg/dL又は75 g経口ブドウ糖負荷試験の血糖2時間値140~199 mg/dL)、脂質異常症(空腹時トリグリセリド150 mg/dL以上)又は非アルコール性脂肪性肝疾患(肝臓脂肪含有率5%以上)とした。 |
方法 |
チルゼパチド10 mg、15 mg又はプラセボを週1回72週間皮下投与した。チルゼパチドはいずれの投与群でも最初の4週間は初回投与量の2.5 mgで週1回投与し、その後割り付けられた用量に到達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ漸増した。用量漸増期間は最長20週であった。 体重管理のための低カロリー食及び運動量の増加を併せて実施した。 |
GPHK試験(SURMOUNT-1) 試験概要6)
試験デザイン |
第3相、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験 |
対象注1) |
BMIが27 kg/m2以上で高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸又は心血管疾患のいずれかを有する治験参加者もしくはBMIが30 kg/m2以上の治験参加者2517例(日本人102例)(GCP違反が認められた22例を除く)。なお、糖尿病患者は除外された。 255例がDXA補遺に登録された。 |
方法注2) |
チルゼパチド5 mg、10 mg、15 mg又はプラセボを週1回72週間皮下投与した。チルゼパチドはいずれの投与群でも最初の4週間は初回投与量の2.5 mgで週1回投与し、その後割り付けられた用量に到達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ漸増した。用量漸増期間は最長20週であった。 体重管理のための低カロリー食及び運動量の増加を併せて実施した。 |
注1)チルゼパチドの承認された効能又は効果は「肥満症」である。ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27 kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35 kg/m2以上
注2)チルゼパチドの承認された用法及び用量・用法及び用量に関連する注意は以下のとおりです。
6. 用法及び用量
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5 mgから開始し、4週間の間隔で2.5 mgずつ増量し、週1回10 mgを皮下注射する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5 mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5 mgずつ週1回15 mgまで増量できる。
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)
7.1本剤の用量調節に際しては、以下の点に留意すること。
・患者の体重減少の程度や本剤に対する忍容性に応じて、週1回5mgで治療を継続することも考慮すること。
最終更新日: April 2025
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