ゼップバウンド ® (チルゼパチド)
以下は適正使用情報として、本邦における承認事項(用法・用量、適応、剤形など)以外の情報が含まれる場合がございます。薬剤の使用に際しては、製品情報ページにある最新の電子化された添付文書をご確認ください。
糖尿病の有無によりゼップバウンド(チルゼパチド)による体重減少効果に違いはあるのか?
2型糖尿病を有しない肥満又は体重に関連した併存疾患を有する過体重の患者を対象とした国際共同第3相試験[GPHK試験(SURMOUNT-1)]、及び2型糖尿病を有する肥満又は過体重の患者を対象とした国際共同第3相試験[GPHL試験(SURMOUNT-2)]での体重減少効果は以下のとおりです。
[解説]
本試験には一部承認効能又は効果と異なる成績が含まれますが、承認時評価資料であるため掲載します。
SURMOUNT臨床試験プログラムは、過体重又は肥満の治療薬として、チルゼパチドの長期体重管理の有効性及び安全性を評価することを目的にデザインされました1)。
SURMOUNT-1試験は、2型糖尿病を有しない肥満又は体重に関連する併存疾患を有する過体重の治験参加者2517例を対象※1に、チルゼパチド5 mg※2、10 mg、及び15 mgを週1回投与した、72週間第3相二重盲検無作為化プラセボ対照試験でした2)。
SURMOUNT-1試験の有効性Estimandで、投与72週時における体重の平均変化率は以下のとおりでした(MMRM解析)3)。
・ チルゼパチド10 mg群:−21.4%
・ チルゼパチド15 mg群:−22.5%
・ プラセボ群:−2.5%
(チルゼパチド10 mg群及び15 mg群:主要評価項目、チルゼパチド5 mg※2群:主な副次評価項目)
SURMOUNT-1試験における有害事象の概要は以下のとおりでした。
表1)いずれかの投与群で発現割合が5%以上の有害事象(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])[GPHK試験(SURMOUNT-1)]3)
|
チルゼパチド5 mg※2 |
チルゼパチド10 mg |
チルゼパチド15 mg |
プラセボ |
悪心 |
154(24.7) |
210(33.4) |
195(31.1) |
61(9.6) |
下痢 |
118(18.9) |
134(21.3) |
144(22.9) |
46(7.2) |
COVID-19 |
94(15.1) |
98(15.6) |
82(13.1) |
90(14.1) |
便秘 |
104(16.7) |
109(17.4) |
74(11.8) |
37(5.8) |
消化不良 |
56(9.0) |
61(9.7) |
70(11.1) |
26(4.1) |
嘔吐 |
52(8.3) |
68(10.8) |
77(12.3) |
11(1.7) |
食欲減退 |
59(9.5) |
73(11.6) |
54(8.6) |
21(3.3) |
頭痛 |
41(6.6) |
43(6.8) |
41(6.5) |
42(6.6) |
腹痛 |
31(5.0) |
33(5.3) |
31(4.9) |
21(3.3) |
脱毛症 |
32(5.1) |
31(4.9) |
36(5.7) |
6(0.9) |
浮動性めまい |
26(4.2) |
35(5.6) |
26(4.1) |
15(2.4) |
おくび |
24(3.8) |
33(5.3) |
35(5.6) |
4(0.6) |
注射部位反応 |
18(2.9) |
36(5.7) |
29(4.6) |
2(0.3) |
MedDRA/J ver24.1 発現例数(発現割合%) |
SURMOUNT-2試験は、2型糖尿病を有する肥満又は過体重の治験参加者912例を対象※1に、チルゼパチド10 mg及び15 mgを週1回投与した、72週間第3相二重盲検無作為化プラセボ対照試験でした1,4)。
SURMOUNT-2試験の有効性Estimandで、主要評価項目である投与72週時における体重の平均変化率は以下のとおりでした(MMRM解析)5)。
・ チルゼパチド10 mg群:−13.6%
・ チルゼパチド15 mg群:−15.7%
・ プラセボ群:−3.3%
SURMOUNT-2試験における有害事象の概要は以下のとおりでした。
表2)いずれかの投与群で発現割合が5%以上の有害事象(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])[GPHL試験(SURMOUNT-2)]5)
|
チルゼパチド10 mg |
チルゼパチド15 mg |
プラセボ |
下痢 |
59(19.5) |
65(21.5) |
27(8.8) |
悪心 |
60(19.9) |
65(21.5) |
20(6.5) |
COVID-19 |
52(17.2) |
33(10.9) |
52(16.9) |
嘔吐 |
32(10.6) |
39(12.9) |
10(3.3) |
食欲減退 |
29(9.6) |
30(9.9) |
7(2.3) |
便秘 |
24(7.9) |
27(8.9) |
12(3.9) |
高血糖 |
6(2.0) |
4(1.3) |
44(14.3) |
消化不良 |
22(7.3) |
22(7.3) |
9(2.9) |
上気道感染 |
10(3.3) |
12(4.0) |
21(6.8) |
腹痛 |
12(4.0) |
22(7.3) |
7(2.3) |
おくび |
19(6.3) |
13(4.3) |
2(0.7) |
上咽頭炎 |
8(2.6) |
9(3.0) |
17(5.5) |
浮動性めまい |
17(5.6) |
8(2.6) |
5(1.6) |
MedDRA/J ver25.1 発現例数(発現割合%) |
表3)SURMOUNT-1試験及びSURMOUNT-2試験における体重の平均変化率3,5)
試験群、%a |
SURMOUNT-1試験 |
SURMOUNT-2試験 |
チルゼパチド5 mg※2 |
−16.0% |
該当なし |
チルゼパチド10 mg |
−21.4% |
−13.6% |
チルゼパチド15 mg |
−22.5% |
−15.7% |
プラセボ |
−2.5% |
−3.3% |
a データは有効性Estimandを用いた平均体重減少率(%)で示しています。
これらは別々の試験であるため、試験間の比較はできませんので、非2型糖尿病の治験参加者で認められた体重減少量について、2型糖尿病の治験参加者と比較して結論を出すことはできません。
■糖尿病患者における体重減少の差
2型糖尿病の治験参加者が非2型糖尿病の治験参加者と比較して、肥満治療により体重減少しにくい理由を説明する要因として、以下のような多くの潜在的要因が挙げられています。
・ 体重増加を促進することが知られている薬剤(インスリン、スルホニル尿素薬、メグリチニド*、チアゾリジン系薬剤など)を併用している6,7)
・ インスリン抵抗性がある
・ 低血糖への影響がある
・ 血糖コントロールが改善しており、尿糖によるカロリー排泄量が低下している
・ 細菌叢が変化している
・ 遺伝的因子がある
・ 集団に差がある(例:肥満歴、高齢、身体活動レベル)8,9)
しかし、2型糖尿病の治験参加者と非2型糖尿病の治験参加者を比較評価する前向き無作為化臨床試験はほとんどありません。試験間又は群間でデータを比較する場合、試験デザイン、選択基準及び除外基準、統計手法、ベースライン特性、並びに併用薬が異なるため、解釈には注意が必要です。
さらに、2型糖尿病を有しない肥満の人を対象とした一部の試験では、インスリン抵抗性があっても様々な介入による体重減少に影響を及ぼすことはないことが示唆されています10,11,12)。
* 国内未承認
※1
チルゼパチドの承認された効能又は効果は「肥満症」である。ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27 kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35 kg/m2以上
※2
チルゼパチドの承認された用法及び用量・用法及び用量に関連する注意は以下のとおりです。
6. 用法及び用量
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5 mgから開始し、4週間の間隔で2.5 mgずつ増量し、週1回10 mgを皮下注射する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5 mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5 mgずつ週1回15 mgまで増量できる。
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)
7.1本剤の用量調節に際しては、以下の点に留意すること。
・患者の体重減少の程度や本剤に対する忍容性に応じて、週1回5 mgで治療を継続することも考慮すること。
[引用元]
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.10.1(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.10.2(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.11.1(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.11.2(承認時評価資料)
※引用元資料の入手をご希望の場合は上記のリンクをクリックし請求して下さい。
[略語]
COVID-19=新型コロナウイルス感染症
GCP=医薬品の臨床試験の実施の基準
MedDRA=ICH国際医薬用語集
MMRM(mixed model for repeated measures)=繰り返し測定値に関する混合効果モデル
GPHK試験(SURMOUNT-1) 試験概要2)
試験デザイン |
第3相、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験 |
対象注1) |
BMIが27 kg/m2以上で高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸又は心血管疾患のいずれかを有する治験参加者もしくはBMIが30 kg/m2以上の治験参加者2517例(日本人102例)(GCP違反が認められた実施医療機関で無作為割付された22 例を除く)。なお、糖尿病患者は除外された。 |
方法注2) |
チルゼパチド5 mg、10 mg、15 mg又はプラセボを週1回72週間皮下投与した。チルゼパチドはいずれの投与群でも最初の4週間は初回投与量の2.5 mgで週1回投与し、その後割り付けられた用量に到達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ漸増した。用量漸増期間は最長20週であった。 体重管理のための低カロリー食及び運動量の増加を併せて実施した。 |
GPHL試験(SURMOUNT-2) 試験概要4)
試験デザイン |
第3相、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験 |
対象注1) |
2型糖尿病を有するBMIが27.0 kg/m2以上の治験参加者912例(日本人41例)(GCP違反が認められた実施医療機関で無作為割付された26 例を除く) |
方法 |
チルゼパチド10 mg、15 mg又はプラセボを週1回72週間皮下投与した。チルゼパチドはいずれの投与群でも最初の4週間は初回投与量の2.5 mgで週1回投与し、その後割り付けられた用量に到達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ漸増した。用量漸増期間は最長20週であった。 |
注1)チルゼパチドの承認された効能又は効果は「肥満症」である。ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27 kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35 kg/m2以上
注2)チルゼパチドの承認された用法及び用量・用法及び用量に関連する注意は以下のとおりです。
6. 用法及び用量
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5 mgから開始し、4週間の間隔で2.5 mgずつ増量し、週1回10 mgを皮下注射する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5 mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5 mgずつ週1回15 mgまで増量できる。
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)
7.1本剤の用量調節に際しては、以下の点に留意すること。
・患者の体重減少の程度や本剤に対する忍容性に応じて、週1回5 mgで治療を継続することも考慮すること。
最終更新日: December 2024
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