ゼップバウンド ® (チルゼパチド)
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臨床試験における有害事象によるゼップバウンド(チルゼパチド)の投与中止割合は?
国内第3相試験[GPHZ試験(SURMOUNT-J)]、国際共同第3相試験[GPHK試験(SURMOUNT-1)]、国際共同第3相試験[GPHL試験(SURMOUNT-2)]における有害事象によるチルゼパチドの投与中止割合は以下のとおりでした。
[解説]
本試験には一部承認効能又は効果と異なる成績が含まれますが、承認時評価資料であるため掲載します。
≪GPHZ試験(SURMOUNT-J)における有害事象による投与中止割合≫
BMIが27 kg/m2以上35 kg/m2未満で肥満に関連する健康障害※1を2つ以上有する、又はBMIが35 kg/m2以上で肥満に関連する健康障害※1を1つ以上有する日本人肥満症患者を対象※2にチルゼパチド投与とプラセボ投与を比較した国内第3相試験であるGPHZ試験(SURMOUNT-J)において、有害事象によりチルゼパチドの投与中止に至った患者の割合は以下表1のとおりでした。
表1)有害事象による投与中止割合(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])[GPHZ試験(SURMOUNT-J)]1,2)
群 |
投与中止割合 |
内訳 |
チルゼパチド10 mg |
7/73例(9.6%) |
悪心、腹部不快感、消化不良、倦怠感、食欲減退、前立腺癌、脳幹梗塞 各1例 |
チルゼパチド15 mg |
8/77例(10.4%) |
悪心4例、便秘、好酸球数増加、子宮内膜腺癌、子宮癌 各1例 |
プラセボ |
5/75例(6.7%) |
急性心筋梗塞、胸痛、全身性浮腫、腹部新生物、食道癌 各1例 |
MedDRA/J ver26.0 発現例数/評価例数(%)
≪GPHK試験(SURMOUNT-1)における有害事象による投与中止割合≫
2型糖尿病を有しない、肥満又は体重に関連する併存疾患を有する過体重の治験参加者を対象※2に、チルゼパチド投与とプラセボ投与を比較した国際共同第3相試験であるGPHK試験(SURMOUNT-1)において、有害事象によりチルゼパチドの投与中止に至った治験参加者の割合は以下表2のとおりでした。
表2)有害事象による投与中止割合(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])[GPHK試験(SURMOUNT-1)]3)
群 |
投与中止割合 |
内訳 |
チルゼパチド5 mg※3 |
28/624例(4.5%) |
悪心5例、下痢、COVID-19肺炎 各2例、胃食道逆流性疾患、便秘、急性膵炎、倦怠感、胆石症、肝不全、リパーゼ増加、頭痛、しゃっくり、起立性低血圧、霧視、消化不良、多発性外傷、前立腺癌、悪性黒色腫、浸潤性乳管癌、安静時振戦、視床出血、呼吸困難 各1例 |
チルゼパチド10 mg |
44/628例(7.0%) |
悪心6例、下痢5例、嘔吐4例、腹痛、便秘、胃腸障害、腹部膨満、血中カルシトニン増加、発疹 各2例、胃食道逆流性疾患、消化不良、上腹部痛、注射部位発疹、肝機能検査値上昇、食欲減退、筋骨格痛、自殺企図、回転性めまい、憩室炎、結核性腹膜炎、悪性黒色腫、浮動性めまい、躁病、殺人、人工流産、深部静脈血栓症 各1例 |
チルゼパチド15 mg |
40/628例(6.4%) |
悪心12例、下痢、腹痛 各3例、胃食道逆流性疾患、鼓腸 各2例、消化不良、胃腸障害、大腸炎、薬物不耐性、注射部位反応、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加、食欲減退、筋肉痛、うつ病、潰瘍性食道炎、疲労、SARS-CoV-2検査陽性、子宮頚部腺扁平上皮癌、乳癌、肺腺癌、腎腫瘤、皮膚炎、起立性低血圧 各1例 |
プラセボ |
20/637例(3.1%) |
悪心、肺塞栓症 各2例、閉塞性膵炎、無力症、片頭痛、腎癌、急性心不全、脂肪肝、COVID-19肺炎、血中カリウム減少、肝酵素上昇、子宮頚部腺癌、遠隔転移を伴う膵癌、形質細胞性骨髄腫、虚血性脳卒中、不安、脱毛症、腹膜形成 各1例 |
MedDRA/J ver.24.1 発現例数/評価例数(%)
≪GPHL試験(SURMOUNT-2)における有害事象による投与中止割合≫
2型糖尿病を有する、肥満又は過体重の治験参加者を対象※2に、チルゼパチド投与とプラセボ投与を比較した国際共同第3相試験であるGPHL試験(SURMOUNT-2)において、有害事象によりチルゼパチドの投与中止に至った治験参加者の割合は以下表3のとおりでした。
表3)有害事象による投与中止割合(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])[GPHL試験(SURMOUNT-2)]3)
群 |
投与中止割合 |
内訳 |
チルゼパチド10 mg |
12/302例(4.0%) |
嘔吐、血中カルシトニン増加 各2例、悪心、低ナトリウム血症、心肺停止、糖尿病網膜症、フューム吸引性呼吸障害、関節痛、うつ病、胃バイパス 各1例 |
チルゼパチド15 mg |
22/303例(7.3%) |
下痢5例、悪心3例、胃腸炎、腹痛、便秘、糖尿病性胃不全麻痺、急性胆嚢炎、血圧上昇、体重減少、傾眠、膵嚢胞、急性膵炎、無力症、結腸腺癌、胃新生物、前立腺癌 各1例 |
プラセボ |
12/307例(3.9%) |
腹痛、閉塞性膵炎、過敏症、頭痛、不眠症、コントロール不良の糖尿病、高血糖、結腸腺癌、結腸癌、浸潤性乳癌、白血病、マントル細胞リンパ腫 各1例 |
MedDRA/J ver.25.1 発現例数/評価例数(%)
※1
|
本試験における健康障害の定義 |
耐糖能異常 |
空腹時血糖値又は0時間経口ブドウ糖負荷試験(OGTT) 110~125 mg/dL、もしくは2時間 OGTT 140~199 mg/dLであり、糖尿病の診断基準を満たさず、糖尿病診療ガイドライン2019で「境界型」として記述される血糖範囲 |
脂質異常症 |
トリグリセリド150 mg/dL以上 |
非アルコール性脂肪性肝疾患 |
肝臓脂肪含有率(HFF) 5%以上 |
※2
チルゼパチドの承認された効能又は効果は「肥満症」である。ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27 kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35 kg/m2以上
※3
チルゼパチドの承認された用法及び用量・用法及び用量に関連する注意は以下のとおりです。
6. 用法及び用量
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5 mgから開始し、4週間の間隔で2.5 mgずつ増量し、週1回10 mgを皮下注射する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5 mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5 mgずつ週1回15 mgまで増量できる。
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)
7.1本剤の用量調節に際しては、以下の点に留意すること。
・患者の体重減少の程度や本剤に対する忍容性に応じて、週1回5 mgで治療を継続することも考慮すること。
[引用元]
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.4.2.1.6.1(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.9.1(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.10.1(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.11.1(承認時評価資料)
※引用元資料の入手をご希望の場合は上記のリンクをクリックし請求して下さい。
[略語]
BMI=body mass index
COVID-19=新型コロナウイルス感染症
GCP=医薬品の臨床試験の実施の基準
ICH=医薬品規制調和国際会議
MedDRA=ICH国際医薬用語集
SARS-CoV-2= severe acute respiratory syndrome-coronavirus 2
GPHZ試験(SURMOUNT-J) 試験概要1,4)
試験デザイン |
第3相、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験 |
対象注1) |
BMIが27 kg/m2以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害*を有する又はBMIが35 kg/m2以上で1つ以上の肥満に関連する健康障害*を有する肥満症患者225例(GCP違反が認められた実施医療機関で無作為割付された42例を除く)。なお、糖尿病患者は除外された。
* 組み入れ基準では、耐糖能異常(空腹時血糖110~125 mg/dL又は75 g経口ブドウ糖負荷試験の血糖2時間値140~199 mg/dL)、脂質異常症(空腹時トリグリセリド150 mg/dL以上)又は非アルコール性脂肪性肝疾患(肝臓脂肪含有率5%以上)とした。 |
方法 |
チルゼパチド10 mg、15 mg又はプラセボを週1回72週間皮下投与した。チルゼパチドはいずれの投与群でも最初の4週間は初回投与量の2.5 mgで週1回投与し、その後割り付けられた用量に到達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ漸増した。用量漸増期間は最長20週であった。 体重管理のための低カロリー食及び運動量の増加を併せて実施した。 |
GPHK試験(SURMOUNT-1) 試験概要5)
試験デザイン |
第3相、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験 |
対象注1) |
BMIが27 kg/m2以上で高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸又は心血管疾患のいずれかを有する治験参加者もしくはBMIが30 kg/m2以上の治験参加者2517例(日本人102例)(GCP違反が認められた実施医療機関で無作為割付された22 例を除く)。なお、糖尿病患者は除外された。 |
方法注2) |
チルゼパチド5 mg、10 mg、15 mg又はプラセボを週1回72週間皮下投与した。チルゼパチドはいずれの投与群でも最初の4週間は初回投与量の2.5 mgで週1回投与し、その後割り付けられた用量に到達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ漸増した。用量漸増期間は最長20週であった。 体重管理のための低カロリー食及び運動量の増加を併せて実施した。 |
GPHL試験(SURMOUNT-2) 試験概要6)
試験デザイン |
第3相、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験 |
対象注1) |
2型糖尿病を有するBMIが27.0 kg/m2以上の治験参加者912例(日本人41例)(GCP違反が認められた実施医療機関で無作為割付された26 例を除く) |
方法 |
チルゼパチド10 mg、15 mg又はプラセボを週1回72週間皮下投与した。チルゼパチドはいずれの投与群でも最初の4週間は初回投与量の2.5 mgで週1回投与し、その後割り付けられた用量に到達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ漸増した。用量漸増期間は最長20週であった。 |
注1)チルゼパチドの承認された効能又は効果は「肥満症」である。ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27 kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35 kg/m2以上
注2)チルゼパチドの承認された用法及び用量・用法及び用量に関連する注意は以下のとおりです。
6. 用法及び用量
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5 mgから開始し、4週間の間隔で2.5 mgずつ増量し、週1回10 mgを皮下注射する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5 mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5 mgずつ週1回15 mgまで増量できる。
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)
7.1本剤の用量調節に際しては、以下の点に留意すること。
・患者の体重減少の程度や本剤に対する忍容性に応じて、週1回5 mgで治療を継続することも考慮すること。
最終更新日: April 2025
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