ケサンラ ® (ドナネマブ(遺伝子組換え))
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ケサンラ(ドナネマブ)のARIA検出のためのMRI設定条件は?
ARIA検出のためのMRI設定条件として、投与開始前のベースラインと経過観察に用いる脳MRI検査は可能な限り同じ条件で撮像し、経時的変化をとらえてください。FLAIR、T2*GRE、拡散強調画像(DWI)の撮像が必須となります。撮像パラメータについては、装置に応じて適切な撮像条件を用いてください。
[解説]
ドナネマブの投与によって、MRI画像上の異常所見であるアミロイド関連画像異常(ARIA)があらわれることがあり、電子添文上、投与開始前及び投与中にMRI検査を実施する必要があることが規定されています1)。
ARIA検出のためのMRI設定条件は以下をご参考ください。
【ARIA検出のためのMRI設定条件】2-6)
投与開始前のベースラインと経過観察に用いる脳MRI検査は可能な限り同じ条件で撮像し、経時的変化をとらえてください。
FLAIR、T2*GRE(あるいはSWI)、拡散強調画像(DWI)の撮像が必須となります。
撮像パラメータについては、装置に応じて適切な撮像条件を用いてください。
【推奨条件】2-6)
磁場強度(tesla:T): 1.5T以上
スライス厚: 5mm以下
【用いるシーケンス】2-6)
ARIA-Eの検出:FLAIR
ARIA-Hの検出:T2*GRE(あるいはSWI)
急性期脳梗塞との鑑別:DWI(+ADCマップ)
■FLAIRについて
3D-FLAIRは、2D-FLAIR画像と比較して、脳脊髄液の信号抑制の改善や脳実質浮腫の検出感度上昇などの利点があります2,3)。
■T2*GREとSWIについて
SWIはT2*GREと比較して微小出血の検出感度が高いことが知られています3,4)。
SWIはT2*GREより微小出血の検出が多くなるため、ARIA-Hの重症度が高く判定される可能性があります3)。
■DWIについて
急性期・亜急性期脳梗塞の検出やARIA-Eとの鑑別に有用です2,3)。
ADCマップで、脳梗塞は低値[細胞障害性(毒性)浮腫]を呈し、ARIA-E(血管原性浮腫)はT2 shine-throughによる高信号を呈する傾向にあります。⇒ADCマップが急性期脳梗塞などの細胞障害性(毒性)浮腫との鑑別に有用となる場合が多いです2)。
ARIAの臨床的特徴や画像所見、評価の留意点ARIA判定のピットフォールについては、アミロイド関連画像異常 (ARIA)の概要とマネジメントをご参考ください。
[引用元]
Cogswell PM, et al.: AJNR Am J Neuroradiol. 2022; 43: E19-E35(CNS31744)
堀内大右ほか: 医学のあゆみ. 2023; 287: 978-984
Sperling RA, et al.: Alzheimers Dement. 2011; 7: 367-385(CNS31741)
冨本秀和: 医学のあゆみ. 2023; 287: 1053-1058(CNS31772)
Barakos J, et al.: J Prev Alzheimers Dis. 2022; 9: 211-220(CNS31743)
[略語]
ARIA=アミロイド関連画像異常
DWI=拡散強調画像
FLAIR=fluid attenuated inversion recovery
MRI=核磁気共鳴画像
SWI=磁化率強調画像
T2*GRE=T2*gradient-echo
最終更新日: December 2024
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