ゼップバウンド ® (チルゼパチド)
以下は適正使用情報として、本邦における承認事項(用法・用量、適応、剤形など)以外の情報が含まれる場合がございます。薬剤の使用に際しては、製品情報ページにある最新の電子化された添付文書をご確認ください。
ゼップバウンド(チルゼパチド)について投与する際に留意すべき点は何か?(最適使用推進ガイドライン、留意事項通知について)
本剤は最適使用推進ガイドラインの対象医薬品となっており、投与に際して留意すべき事項が以下のとおり定められています。
[解説]
本剤は最適使用推進ガイドライン1)の対象医薬品となっており、投与に際して留意すべき事項が以下のとおり定められています。
また最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項通知2)が発出され、診療報酬明細書に施設要件を満たす旨を記載することが求められております。
6.投与に際して留意すべき事項
1)下記の該当する患者については本剤の投与が禁忌とされている。
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
・糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者
・2型糖尿病を有する患者における重症感染症、手術等の緊急の場合
2)妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与しないこと。妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
3)下記に該当する患者に対する投与の必要性は、慎重に判断すること。
・重症胃不全麻痺等の重度の胃腸障害のある患者
・膵炎の既往歴のある患者
・低血糖を起こすおそれがある以下の患者又は状態
脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
激しい筋肉運動
過度のアルコール摂取
・増殖糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、急性期治療を要する非増殖糖尿病網膜症を合併する患者又はこれらの既往歴のある患者
・高齢者
4)小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
5)本剤投与中は、甲状腺関連の症候の有無を確認し、異常が認められた場合には、専門医を受診するよう指導すること。雌雄ラットを用いた2年間がん原性試験において、本剤を0.15、0.50及び1.5 mg/kgの用量(それぞれ臨床最大用量をヒトに皮下投与した際のAUCの0.11、0.31及び0.88倍のAUCをもたらす用量)で週2回皮下投与したところ、対照群と比較して、甲状腺C細胞腫瘍(腺腫及び癌)の発生頻度の増加がすべての用量でみられた。rasH2トランスジェニックマウスを用いた6ヵ月間がん原性試験において、本剤を1、3及び10 mg/kgの用量で週2回皮下投与したところ、甲状腺C細胞の過形成あるいは腫瘍の発生頻度に増加は認められなかった。甲状腺髄様癌の既往のある患者及び甲状腺髄様癌又は多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴のある患者に対する本剤の安全性は確立していない。
6)急性膵炎が発現することがあるので、急性膵炎の初期症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)があらわれた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受けるよう指導すること。
7)胃腸障害が発現した場合、急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、慎重に対応すること。
8)下痢、嘔吐から脱水を続発し、急性腎障害に至るおそれがあるので、患者の状態に注意すること。
9)血圧低下がみられた場合には患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
10)胆石症、胆嚢炎、胆管炎又は胆汁うっ滞性黄疸が発現するおそれがあるので、腹痛等の腹部症状がみられた場合には、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、適切に対応すること。
11)急激な血糖コントロールの改善に伴い、糖尿病網膜症の顕在化又は増悪があらわれることがあるので、注意すること。
12)本剤の使用にあたっては、患者に対し、低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。低血糖を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること。
13)本剤は肥満症治療薬であり、効能又は効果以外の美容・痩身・ダイエットなどの目的では使用しないこと。
14)本剤は肥満症治療薬であり、2型糖尿病の治療を主たる目的として使用しないこと。
15)本剤は血糖降下作用を有するが、インスリンの代替薬ではない。2型糖尿病を有する患者に対する本剤の投与に際しては、患者のインスリン依存状態を確認し、投与の可否を判断すること。インスリン依存状態の患者で、インスリンからGLP-1受容体作動薬に切り替え、急激な高血糖及び糖尿病性ケトアシドーシスが発現した症例が報告されている。
16)本剤はチルゼパチドを含有しているため、マンジャロ等他のチルゼパチド含有製剤あるいはその他のGLP-1受容体作動薬等のGLP-1受容体に対するアゴニスト作用を有する薬剤と併用しないこと。本剤の処方にあたっては、他のチルゼパチド製剤やGLP-1受容体作動薬等が処方されていないことを確認すること。
17)本剤とDPP-4阻害剤はいずれもGLP-1受容体及びGIP受容体を介した血糖降下作用を有している。2型糖尿病を有する患者において両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。
18)本剤の自己注射にあたっては、患者に十分な教育訓練を実施した後、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもと実施すること。また、器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。添付されている取扱説明書を必ず読むよう指導すること。
19)添付文書に加え、製造販売業者が提供する資料等に基づき本剤の特性及び適正使用のために必要な情報を十分に理解してから使用すること。
20)本剤のRMPを熟読し、安全性検討事項を確認すること。
●最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項通知2)
(3) 本製剤の投与開始に当たっては、次の事項を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
① 次に掲げる標榜診療科名のうち該当するもの(「施設要件ア」から「施設要件オ」までのうち該当するものをすべて記載)
ア 内科
イ 循環器内科
ウ 内分泌内科
エ 代謝内科
オ 糖尿病内科
② 次に掲げる施設のうち、該当するもの(「施設要件カ」から「施設要件サ」までのうち該当するものを記載)及び「施設要件キ」、「施設要件ケ」又は「施設要件サ」に該当する場合は、連携施設名及び所在地
カ 日本循環器学会の専門医を有する自施設の常勤医師が本製剤による治療に携わる
キ 日本循環器学会の専門医を有する連携施設の常勤医師が本製剤による治療に携わる
ク 日本糖尿病学会の専門医を有する自施設の常勤医師が本製剤による治 療に携わる
ケ 日本糖尿病学会の専門医を有する連携施設の常勤医師が本製剤による 治療に携わる
コ 日本内分泌学会の専門医を有する自施設の常勤医師が本製剤による治 療に携わる
サ 日本内分泌学会の専門医を有する連携施設の常勤医師が本製剤による治療に携わる
③ 次に掲げる施設のうち、該当するもの(「施設要件シ」から「施設要件セ」までのうち該当するものを記載)
シ 日本循環器学会の教育研修施設
ス 日本糖尿病学会の教育研修施設
セ 日本内分泌学会の教育研修施設
④ 常勤の管理栄養士の免許証番号
⑤ 次に掲げる医師の要件のうち、本製剤に関する治療の責任者として配置されている者が該当するもの(「医師要件ア」又は「医師要件イ」と記載)
ア 医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病並びに肥満症の診療に5年以上の臨床研修を有していること。
イ 医師免許取得後、満7年以上の臨床経験を有し、そのうち5年以上は高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病並びに肥満症の臨床研修を行っていること。
⑥ 次に掲げる医師の要件のうち、本製剤に関する治療の責任者として配置されて いる者が該当するもの(「医師要件ウ」から「医師要件オ」までのうち該当するものをすべて記載)
ウ 日本循環器学会の専門医
エ 日本糖尿病学会の専門医
オ 日本内分泌学会の専門医
⑦ 次に掲げる患者の要件のうち、該当するもの(「患者要件ア」~「患者要件ウ」までのうち該当するものをすべて記載)
ア 高血圧
イ 脂質異常症
ウ 2型糖尿病
⑧ 次に掲げる患者の要件のうち、該当するもの(「患者要件エ」又は「患者要件オ」と記載)
エ BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有す
る
オ BMIが35kg/m2以上
⑨ (3)⑧の「患者要件エ」に該当する場合は、次に掲げる肥満に関連する健康障害のうち、該当するもの(「患者要件カ」~「患者要件タ」までのうち該当するものをすべて記載)
カ 耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
キ 脂質異常症
ク 高血圧
ケ 高尿酸血症・痛風
コ 冠動脈疾患
サ 脳梗塞
シ 非アルコール性脂肪性肝疾患
ス 月経異常・不妊
セ 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
ソ 運動器疾患
タ 肥満関連腎臓病
⑩ 食事療法・運動療法に係る治療計画を作成した年月日
⑪ (3)⑩の治療計画に基づく食事療法において、管理栄養士による栄養指導を少なくとも6か月以上受けたことがわかるすべての年月日
⑫ 合併している高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病に対して投与中のすべての医薬品名
⑬ 本製剤による治療計画(72週以内に投与を中止する計画であること)を作成 した年月日
(4) 本製剤の継続投与に当たっては、次の事項を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
① 本製剤投与中、管理栄養士による栄養指導を受けた直近の年月日
② 本製剤の初回投与から起算して、何週目の投与であるか
③ 次に掲げるすべての項目の直近の測定値及び測定年月日並びに改善傾向が認められた旨
ア 体重
イ 血糖
ウ 血圧
エ 脂質
(5) 本製剤の中止後に肥満症の悪化が認められ、本製剤の初回投与開始時と同様に、本剤を投与する施設において適切な治療計画に基づく食事療法・運動療法を実施しても、本製剤の再投与が必要と判断された場合は、再投与の開始日に次の事項を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
また、再投与後の継続投与に当たっては、(4)に対応すること。
本製剤の投与を中止した年月日
本製剤の中止後に改めて食事療法・運動療法に係る治療計画を作成した年月日
③ (5)②の治療計画に基づく食事療法において、管理栄養士による栄養指導を少なくとも6か月以上受けたことがわかるすべての年月日
④ (5)②の治療計画に基づく食事療法・運動療法を6か月間行う前に、やむを得
ず本製剤の投与を再開する場合はその理由
⑤ 改めて本製剤による治療計画(72週以内に投与を中止する計画であること)を作成した年月日
[引用元]
最適使用推進ガイドライン チルゼパチド(ゼップバウンド皮下注) (最終アクセス日:2025年 3月 21日)
令和7年3月18日保医発0318第3号 肥満症の効能又は効果を有するチルゼパチド製剤に係る最適使用推進ガイドラインに伴う留意事項ついて(通知) (最終アクセス日:2025年 3月 21日)
最終更新日: March 2025
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