トルリシティ ® (デュラグルチド(遺伝子組換え))
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トルリシティ(デュラグルチド)の他剤併用療法での国内臨床試験の結果は?
国内で実施した第3相併用療法試験のうち、インスリン グラルギンとの比較試験ではデュラグルチドのインスリン グラルギンに対する非劣性が示されました。また経口血糖降下薬との併用療法長期投与試験では、HbA1c及び空腹時血糖が26週時及び52週時にベースラインから優位に低下しました。デュラグルチド0.75mg及び1.5mgの単独療法及び経口血糖降下薬との併用療法を検討した試験では、HbA1c変化量が26週時にデュラグルチド0.75mgに対してデュラグルチド1.5mg群でベースラインから有意に大きくなりました。
[解説]
※本試験には、一部国内承認外の用法及び用量を含む成績が含まれていますが、承認時評価資料のため紹介します。
国内で実施した第3相臨床試験のうち、併用療法の3試験の結果について以下にご紹介します。
(1)実薬対照非盲検比較試験(GBDY試験)
食事・運動療法に加えスルホニルウレア剤、ビグアナイド系薬剤の単剤又は両剤で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者さん361例を対象に、デュラグルチド0.75 mgを週1回又はインスリン グラルギンを1日1回26週間皮下投与しました。
主要評価項目のベースライン*から投与26週時までのHbA1c変化量[最小二乗平均値(±標準誤差)]は、デュラグルチド群-1.44(±0.05)%、インスリン グラルギン群-0.90(±0.05)%でした。HbA1c変化量の群間差は-0.54%(95%信頼区間:-0.67%、-0.41%)であり、群間差の95%信頼区間の上限が0.4%未満であることから、デュラグルチドのインスリン グラルギンに対する非劣性が示されました1)。さらにインスリン グラルギン群に対するデュラグルチド0.75 mg群の優越性も示されました(p<0.001)。最小二乗平均値の差及びその95%信頼区間、p値は、繰り返し測定値に関する混合効果モデル(MMRM)を用いて解析しました2)。
投与26週時までにデュラグルチド群で認められた主な副作用(発現割合2%以上)は、下痢8.3%、悪心7.7%、便秘6.6%、リパーゼ増加3.3%、嘔吐2.8%、食欲低下2.8%でした。低血糖(症候性低血糖又は血糖値が70 mg/dL以下)はデュラグルチド群47/181例(26.0%)、インスリン グラルギン群86/180例(47.8%)に認められました。なお、第三者の手助けを必要とする低血糖(重症低血糖)は両群とも認められませんでした1)。
*ベースラインの平均HbA1c値(標準偏差)(%)2)
デュラグルチド群:8.06%(0.82%)
(2)非盲検併用療法長期投与試験(GBDQ試験)
食事・運動療法に加えて、経口血糖降下薬(スルホニルウレア剤、ビグアナイド系薬剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、又は速効型インスリン分泌促進剤)単剤で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者さんを対象に、デュラグルチド0.75 mgを週1回52週間併用投与しました1)。
いずれの併用療法においても、投与開始初期からHbA1c及び空腹時血糖が低下し始め1)、投与26週時及び52週時にベースライン**から優位に低下しました(p<0.001)3)。投与52週時におけるベースライン**からのHbA1c変化量[最小二乗平均値(±標準誤差)]は、-1.65(±0.05)%でした3)。
投与52週時までにデュラグルチド群で認められた主な副作用(発現割合2%以上)は、悪心7.4%、便秘7.1%、下痢6.3%、リパーゼ増加4.8%、食欲減退3.6%、消化不良3.3%、嘔吐3.0%、腹部膨満2.5%、腹部不快感2.0%、注射部位そう痒感2.0%でした。低血糖(症候性低血糖又は血糖値が70 mg/dL以下)は、スルホニルウレア剤併用時に増加する傾向が認められましたが、第三者の手助けを必要とする低血糖(重症低血糖)は認められませんでした1)。
<併用薬ごとのベースライン**からのHbA1c変化量(±標準誤差)>1)
スルホニルウレア剤併用群:-1.67% ± 0.09%
ビグアナイド系薬剤併用群:-1.57% ± 0.11%
α-グルコシダーゼ阻害剤併用群:-1.65% ± 0.11%
チアゾリジン系薬剤併用群:-1.69% ± 0.13%
速効型インスリン分泌促進剤併用群:-1.65% ± 0.13%
**ベースラインの平均HbA1c値(標準偏差)(%)3)
スルホニルウレア剤併用群:8.9%(1.1%)
ビグアナイド系薬剤併用群:8.2%(0.9%)
α-グルコシダーゼ阻害剤併用群:8.1%(1.0%)
チアゾリジン系薬剤併用群:8.4%(1.2%)
速効型インスリン分泌促進剤併用群:8.6%(1.2%)
(3)実薬対照二重盲検比較試験(GBGQ試験)
食事・運動療法に加えて、経口血糖降下薬(DPP-4阻害剤、スルホニルウレア剤、ビグアナイド系薬剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、速効型インスリン分泌促進剤、又はSGLT2阻害剤)単剤で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者さん586例を対象に、デュラグルチド1.5 mg又は0.75 mgを週1回52週間皮下投与しました。前治療がDPP-4阻害剤であった場合は、デュラグルチド投与開始時にDPP-4阻害剤の投与を中止しました1)。
主要評価項目のベースライン***から投与26週時までのHbA1c変化量[最小二乗平均値(±標準誤差)]は、デュラグルチド1.5mg群-1.53(±0.04)%、デュラグルチド0.75mg群-1.25(±0.06)%、群間差-0.29%(95%信頼区間:-0.43%、-0.14%)であり、デュラグルチド1.5 mgのデュラグルチド0.75 mgに対する優越性が示されました(MMRM、p<0.001)4)。
なお、副次評価項目のベースライン***から投与52週時までのHbA1c変化量[最小二乗平均値(±標準誤差)]は、デュラグルチド1.5 mg群-1.50(±0.05)%、デュラグルチド0.75 mg群-1.19(±0.07)%、群間差-0.31%(95%信頼区間:-0.47%、-0.15%)であり、デュラグルチド0.75 mg群と比較してデュラグルチド1.5 mg群で有意に大きくなりました(MMRM、p<0.001)4)。
投与52週時までにデュラグルチド1.5mg群で認められた主な副作用(発現割合5%以上)は、便秘10.7%、悪心8.4%、下痢7.7%、腹部不快感6.1%、デュラグルチド0.75 mg群で便秘8.2%でした。低血糖(血糖値54 mg/dL以上70 mg/dL未満)は、いずれの群においても、主にスルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進剤との併用時に増加する傾向が認められました。なお、後観察期間中に、スルホニルウレア剤と併用したデュラグルチド1.5 mg群で血糖値54 mg/dL未満の低血糖が1例認められましたが、第三者の手助けを必要とする低血糖は認められませんでした1)。
***ベースラインの平均HbA1c値(標準偏差)(%)5)
デュラグルチド1.5 mg群:8.68%(0.642%)
デュラグルチド0.75 mg群:8.69%(0.669%)
参考:
デュラグルチドと糖尿病用薬との併用時には、低血糖症の発現にご注意ください。特にスルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあります。スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤やインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤の減量をご検討ください1)。
[引用元]
Araki, E. et al.: Efficacy and safety of once-weekly dulaglutide in combination with sulphonylurea and/or biguanide compared with once-daily insulin glargine in Japanese patients with type 2 diabetes: a randomized, open-label, phase III, non-inferiority study. Diabetes, Obesity and Metabolism, 17(10): 994-1002, 2015(HMN30429)
Emoto, M. et al.: A 1-year safety study of dulaglutide in Japanese patients with type 2 diabetes on a single oral hypoglycemic agent: an open-label, nonrandomized, phase 3 trial. Endocrine Journal, 62(12): 1101-1114, 2015(HMN30479)
トルリシティ1.5 mg申請資料概要CTD2.7.3.3.2.1(承認時評価資料)
トルリシティ1.5 mg申請資料概要CTD2.7.3.3.3(承認時評価資料)
最終更新日: June 2024
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