トルツ ® (イキセキズマブ(遺伝子組換え))
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手術の前後で、トルツ(イキセキズマブ)を休薬する必要があるか?期間は?
イキセキズマブの投与は手術後の創傷治癒、感染防御に影響がある可能性があります。手術前後のイキセキズマブの休薬について特に定められた期間はありません。
[解説]
日本皮膚科学会の「乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2022年版)」では、手術患者に関して以下のような情報があります1)。
<手術患者>
生物学的製剤は手術後の創傷治癒、感染防御に影響がある可能性がある。米国のガイドラインでは、エキスパート・オピニオンとして低リスクの手術では治療継続可能としているが、中~高リスクの手術、低リスクでも呼吸器、消化管、尿生殖器系を侵襲する手術では、術前後の休薬を推奨している。術前は薬剤半減期の3~4倍の期間休薬し、術後は問題がなければ1~2週間で再開できるとしている。一方で、欧州のガイドラインでは、TNF阻害薬では術前に薬剤半減期の3~5倍の期間の休薬を推奨しているものの、他の生物学的製剤では個々の症例に合わせて判断すべきとの見解を示している。イキセキズマブの半減期は約13日である。手術後は創傷が治癒し、感染の合併がないことを確認できれば再治療できる。
【手術前の投与】
英国皮膚科医協会による生物学的製剤治療のガイドラインなどによると、一般的に手術の前には薬剤の半減期の3~5倍の期間をあけることが紹介されています(イキセキズマブの半減期は約13日)2)~4)。
米国リウマチ学会及び米国股関節・膝関節外科学会のガイドラインによると、待機的な人工全膝関節置換術(TKA)及び人工股関節置換術(THA)を行う際には、生物学的製剤(トルツを含む)の投与を中断し、手術は薬物治療のサイクルの最後に施行することが紹介されています。なお、イキセキズマブは最終投与から5週間以降が手術の推奨タイミングと紹介されています。また、抗リウマチ療法を中断していた関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎又は全ての全身性エリテマトーデスの患者は抗リウマチ療法を再開することが条件付きで推奨されます5)。
【推奨条件】(通常術後約14日程度)
・創部に治癒の兆候が見られる
・縫合糸又はホチキスが除去されている
・明らかな腫脹、発赤又は排膿がない
・手術部位以外に感染がない
強直性脊椎炎患者を対象とした第III相臨床試験(COAST-V、COAST-W)において、ベースラインの無作為化前8週間以内に本試験で評価対象となる関節の外科手術を受けた患者又は本試験の最初の16週間に本試験で評価対象となる関節の外科手術が必要な患者は除外されていました6)~8)。
[引用元]
日本皮膚科学会乾癬分子標的薬安全性検討委員会: 日皮会誌, 132(10): 2271-2296, 2022
Smith, C. H. et al.: The British Journal of Dermatology, 183(4): 628-637, 2020
Bakkour, W. et al.: Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, 30(1): 86-91, 2016(AIM00479)
Goodman, S. M. et al.: Arthritis Care and Research, 74(9): 1399-1408, 2022
トルツ(強直性脊椎炎)申請資料概要 CTD2.7.6.1.1 (承認時評価資料)
トルツ(強直性脊椎炎)申請資料概要 CTD2.7.6.2.1 (承認時評価資料)
トルツ(強直性脊椎炎)申請資料概要 CTD2.7.6.3.1 (承認時評価資料)
最終更新日: May 2025
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