サインバルタ ® (デュロキセチン塩酸塩)
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サインバルタ(デュロキセチン)の消化器症状(悪心/嘔吐、食欲減退)の副作用の発現頻度、発現時期、持続期間、及び対処・予防法は?
悪心、食欲減退の発現頻度は、5%以上、嘔吐は1~5%未満であり、これらの副作用は、投与初期に発現頻度が高い傾向にあり、投与の継続に伴って発現率が増加する傾向は見られませんでした。有害事象の発現を回避するため、初期用量は20 mg/日の低用量から開始し、食後にて服用してください。
[解説]
<発現頻度、発現時期>
悪心、食欲減退の発現頻度は、5%以上、嘔吐の発現頻度は1~5%未満であり1)、これらの副作用は、投与初期に発現頻度が高い傾向にあり、投与の継続に伴って発現率が増加する傾向は見られませんでした。
参考:
・うつ病・うつ状態2) 3)
承認時の最大52週間までの国内長期試験2試験において、よく見られた有害事象としての悪心は投与初期に発現する傾向が認められています。
非対照試験(第II相長期オープンラベル試験+第II相長期投与試験、n = 265)
投与1週間以内の有害事象発現率:悪心(24.5%)
・糖尿病性神経障害に伴う疼痛4)
国内のプラセボ対照試験2試験において、よく見られる有害事象としての悪心は投与初期に発現する傾向が認められています。
プラセボ対照試験(第II相用量反応試験+第III相優越性試験、n = 334)
投与1週間以内の有害事象発現率:悪心(13.8%)
・線維筋痛症に伴う疼痛5)
承認時の国内第III相プラセボ対照試験では、発現率がおよそ5%以上の有害事象のうち、悪心、食欲減退は、投与後2週間の発現率が最も高い傾向が認められています。
第III相プラセボ対照試験(n = 393)
投与2週間未満の有害事象発現率:悪心(18.0%)、食欲減退(6.2%)
・慢性腰痛症に伴う疼痛6) 7)
承認時の国内第III相プラセボ対照試験では、発現率が2%以上の有害事象のうち、悪心、食欲減退は、投与後2週間に最も多く発現し、その後の発現率に増加傾向は見られませんでした。
第III相プラセボ対照試験(n = 234)
投与2週間未満の有害事象発現率:悪心(7.3%)、食欲減退(3.8%)
・変形性関節症に伴う疼痛8)
承認時の国内第III相プラセボ対照試験では、発現率が2%以上の有害事象のうち、悪心、食欲減退が、投与後2週間に最も多く発現し、その後の発現率に増加傾向は見られませんでした。
第III相プラセボ対照試験(n = 178)
投与2週間未満の有害事象発現率:悪心(9.0%)、食欲減退(5.1%)
<持続期間>
悪心については回復時期を見たデータがあります。うつ病・うつ状態承認時の国内第III相試験のデュロキセチン群の投与1~3週目に発現した悪心の副作用の回復までの日数中央値は、3.0~17.0日でした9)。
<対処・予防法>1)
初期用量は20 mg/日の低用量から開始し、食後にて服用してください。
[引用元]
サインバルタ(うつ病・うつ状態)申請資料概要CTD2.7.4.2.1.1(承認時評価資料)
樋口 輝彦: 臨床精神薬理, 12(7): 1579-1593, 2009(CNS12786)
サインバルタ(糖尿病性神経障害に伴う疼痛)申請資料概要CTD2.7.4.2.1.1(承認時評価資料)
サインバルタ(線維筋痛症に伴う疼痛)申請資料概要CTD2.7.4.2.1.4(承認時評価資料)
サインバルタ(慢性腰痛症に伴う疼痛)申請資料概要CTD2.7.4.2.1.1(承認時評価資料)
Konno, S. et al.: Spine, 41(22): 1709-1717, 2016(CNS31436)
サインバルタ(変形性関節症に伴う疼痛)申請資料概要CTD2.7.4.2.1.1(承認時評価資料)
樋口 輝彦: 臨床精神薬理, 14(3): 529-542, 2011(CNS14000)
最終更新日: July 2022
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