ベージニオ ® (アベマシクリブ)
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<効能共通> ベージニオ(アベマシクリブ)の用法及び用量設定の根拠は?
手術不能又は再発乳癌における臨床試験成績を踏まえて、ベネフィット・リスクの観点から、内分泌療法剤と併用する際のアベマシクリブの用法・用量は1回150 mg 1日2回が妥当と判断されました。再発高リスクの乳癌における術後薬物療法においては、monarchE試験の設定を踏まえ投与期間が最大24ヵ月と設定されました。
[解説]
<手術不能又は再発乳癌>
アベマシクリブ単剤※のMTD(maximum tolerated dose:最大耐量)は、進行癌患者を対象にアベマシクリブを投与した用量漸増、海外第I相試験(JPBA試験)で決定されました(外国人における成績)1)。
1日1回での用量漸増パートでは、アベマシクリブ1回225 mg※まで検討されましたが、MTDに到達せず、薬物動態解析結果から曝露量の増加は用量比例性を下回ることが示されたため、1日2回投与で検討を行うこととしました1)。
1日2回投与での用量漸増パートでは1回75~275 mg(75、100、150、200、275 mg)※を検討し、1回275 mg1日2回※投与された3例中2例で、DLT(dose limiting toxicity:用量制限毒性)に該当するグレード3の疲労が発現し、MTDを超えたと判断されました。1段階下の1回200 mg1日2回※投与でのDLT発現が7例中1例(グレード3の疲労)であったため、単剤※における1日2回投与でのMTDは200 mg※と決定されました1)。
※承認外の用法及び用量
アベマシクリブとフルベストラントを併用した際の用法及び用量については、JPBA試験内での検討において1回200 mg1日2回※の用法及び用量が許容可能と判断されましたが、MONARCH 2試験2)において、1回200 mg1日2回投与※を用いて試験を開始したところ、下痢の副作用により減量を要する症例が多く認められたことから、90例が組み込まれた時点で、投与中の全症例の用量を150 mg以下に減量し、新たに組み入れる患者の開始用量も1回150 mg1日2回に変更され試験が行われました1)。
※承認外の用法及び用量
MONARCH 3試験3)では、アベマシクリブとレトロゾール又はアナストロゾールを併用した海外第Ib相試験(JPBH試験)の安全性データに基づき、1回150 mg1日2回の用量設定で試験が行われました1)。
これらの国際共同第III相試験の結果、手術不能又は再発乳癌患者に対する内分泌療法剤との併用におけるアベマシクリブ1回150 mg1日2回投与の有効性及び安全性が確認され、ベネフィット・リスクの観点から、内分泌療法との併用におけるアベマシクリブの用法及び用量は、1回150 mg1日2回投与が妥当と判断されました1)。
<再発高リスクの乳癌における術後薬物療法>
既承認である手術不能又は再発乳癌に対する投与と同様の用法及び用量(150 mg1日2回投与)の設定に加え、術後薬物療法としてのアベマシクリブの投与期間が最大24ヵ月間と設定されました。monarchE試験において、HR陽性かつHER2陰性であり、再発高リスクの乳癌患者に対して、術後薬物療法としてのアベマシクリブと内分泌療法併用投与の臨床的有用性が示されたことから、monarchE試験における設定に基づき、アベマシクリブの用法及び用量が設定されました4)。
[引用元]
ベージニオ(手術不能又は再発乳癌)申請資料概要 CTD1.8.3.2.1 (承認時評価資料)
Sledge, G. W. Jr., Toi, M., Neven, P., et al.: MONARCH 2: Abemaciclib in Combination With Fulvestrant in Women With HR+/HER2- Advanced Breast Cancer Who Had Progressed While Receiving Endocrine Therapy. J Clin Oncol, 35(25): 2875-2884, 2017(ONC50211)
Goetz, M. P., Toi, M., Campone, M., et al.: MONARCH 3: Abemaciclib As Initial Therapy for Advanced Breast Cancer. J Clin Oncol, 35(32): 3638-3646, 2017(ONC50197)
ベージニオ審査報告書(再発高リスクの乳癌における術後薬物療法)
最終更新日: September 2024
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