ゼップバウンド ® (チルゼパチド)
以下は適正使用情報として、本邦における承認事項(用法・用量、適応、剤形など)以外の情報が含まれる場合がございます。薬剤の使用に際しては、製品情報ページにある最新の電子化された添付文書をご確認ください。
ゼップバウンド(チルゼパチド)投与による心血管系の安全性は?
不整脈又は心伝導障害の有害事象は、国内第3相試験[GPHZ試験(SURMOUNT-J)]ではチルゼパチド10 mg群の3例(3.4%)、国際共同第3相試験[GPHK試験(SURMOUNT-1)及びGPHL試験(SURMOUNT-2)(Pooled解析)]ではチルゼパチド5 mg群の23例(3.65%)、10 mg群:41例(4.32%)、15 mg群の36例(3.83%)に認められました。
[解説]
本試験には一部承認効能又は効果と異なる成績が含まれますが、承認時評価資料であるため掲載します。
≪不整脈及び心伝導障害≫
BMIが27 kg/m2以上35 kg/m2未満で肥満に関連する健康障害※1を2つ以上有する、又はBMIが35 kg/m2以上で肥満に関連する健康障害※1を1つ以上有する日本人肥満症患者を対象※2にチルゼパチド投与とプラセボ投与を比較した国内第3相試験であるGPHZ試験では、不整脈又は心伝導障害が認められた患者は3例(4.1%)であり、すべてチルゼパチド10 mg群でした。内訳は、失神、第二度房室ブロック、及び期外収縮各1例でした。高度又は重篤な不整脈又は心伝導障害は認められませんでした1)。
2型糖尿病を有しない、肥満又は体重に関連する併存疾患を有する過体重の治験参加者を対象※2にチルゼパチド投与とプラセボ投与を比較した国際共同第3相試験であるGPHK試験及び2型糖尿病を有する肥満又は過体重の治験参加者を対象※2にチルゼパチド投与とプラセボ投与を比較した国際共同第3相試験であるGPHL試験(Pooled解析)では、不整脈又は心伝導障害が認められた患者の割合は以下のとおりでした2)。
・ プラセボ群:39例(4.13%)
・ チルゼパチド5 mg群※3:23例(3.69%)
・ チルゼパチド10 mg群:37例(3.98%)
・ チルゼパチド15 mg群:33例(3.54%)
高度又は重篤な不整脈又は心伝導障害の発現割合は以下の表1に示すとおりでした。内訳は、全チルゼパチド群で失神及び心房細動各2例、心肺停止、意識消失、心房粗動、心室性不整脈、及び心室性期外収縮各1例であり、プラセボ群で失神及び心房細動各1例でした2)。
GPHL試験では心肺停止が発現し、死亡に至りましたがチルゼパチドとの因果関係はなしと判断されました。その他の事象はすべて回復しました2,3)。
表1)高度又は重篤な不整脈又は心伝導障害の有害事象(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])[GPHK試験(SURMOUNT-1)及びGPHL試験(SURMOUNT-2)(Pooled解析)]2,4)
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チルゼパチド (N=624) |
チルゼパチド (N=930) |
チルゼパチド
(N=931) |
プラセボ (N=944) |
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高度又は重篤な不整脈又は心伝導障害 |
0 |
5(0.54) |
3(0.32) |
2(0.21) |
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発現例数(%) |
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≪主要な心血管イベント(MACE)≫
GPHZ試験において治験担当医師により報告されたMACEは表2が示すとおりでした。これらの事象はCECによりMACEと確定されました5,6)。
表2)複合MACE及びそのコンポーネント、並びにすべての死亡(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])[GPHZ試験(SURMOUNT-J)]5,6)
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チルゼパチド (N=73) |
チルゼパチド
(N=77) |
プラセボ (N=75) |
MACE(判定確定) |
2(2.7) |
0 |
1(1.3) |
心血管系による死亡 |
0 |
0 |
0 |
心筋梗塞 |
0 |
0 |
1(1.3) |
不安定狭心症による入院 |
0 |
0 |
0 |
心不全による入院 |
0 |
0 |
0 |
冠動脈形成術 |
0 |
0 |
1(1.3) |
冠動脈バイパス移植術 |
0 |
0 |
0 |
経皮的冠動脈形成術 |
0 |
0 |
1(1.3) |
脳血管イベント |
2(2.7) |
0 |
0 |
脳卒中 |
2(2.7) |
0 |
0 |
一過性脳虚血発作 |
0 |
0 |
0 |
全死因死亡 |
0 |
0 |
0 |
発現例数(%) |
GPHK試験においてCECによりMACEと確定された事象を有する患者の割合は表3が示すとおりでした7,8)。
表3)MACE(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])[GPHK試験(SURMOUNT-1)]8)
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チルゼパチド (N=624) |
チルゼパチド (N=628) |
チルゼパチド
(N=628) |
プラセボ (N=637) |
MACE(判定確定) |
4(0.6) |
3(0.5) |
0 |
5(0.8) |
発現例数(%) |
GPHL試験においてCECによりMACEと確定された事象を有する患者の割合は表4が示すとおりでした7,8)。
表4)MACE(安全性解析対象集団[GCP違反例を除く])[GPHL試験(SURMOUNT-2)]8)
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チルゼパチド (N=302) |
チルゼパチド
(N=303) |
プラセボ (N=307) |
MACE(判定確定) |
4(1.3) |
3(1.0) |
4(1.3) |
発現例数(%) |
※1
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本試験における健康障害の定義 |
耐糖能異常 |
空腹時血糖値又は0時間経口ブドウ糖負荷試験(OGTT) 110~125 mg/dL、もしくは2時間 OGTT 140~199 mg/dLであり、糖尿病の診断基準を満たさず、糖尿病診療ガイドライン2019で「境界型」として記述される血糖範囲 |
脂質異常症 |
トリグリセリド150 mg/dL以上 |
非アルコール性脂肪性肝疾患 |
肝臓脂肪含有率(HFF) 5%以上 |
※2
チルゼパチドの承認された効能又は効果は「肥満症」である。ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27 kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35 kg/m2以上
※3
チルゼパチドの承認された用法及び用量・用法及び用量に関連する注意は以下のとおりです。
6. 用法及び用量
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5 mgから開始し、4週間の間隔で2.5 mgずつ増量し、週1回10 mgを皮下注射する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5 mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5 mgずつ週1回15 mgまで増量できる。
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)
7.1本剤の用量調節に際しては、以下の点に留意すること。
・患者の体重減少の程度や本剤に対する忍容性に応じて、週1回5 mgで治療を継続することも考慮すること。
[引用元]
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.4.4.2.7.7.1(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.4.4.2.7.7.2(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.4.2.1.4.3(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.4.1.2.2.2(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.4.4.2.7.8.1(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.4.4.2.7.8.2(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.9(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.10(承認時評価資料)
ゼップバウンド申請資料概要CTD2.7.6.11(承認時評価資料)
※引用元資料の入手をご希望の場合は上記のリンクをクリックし請求して下さい。
[略語]
BMI=body mass index
CEC=臨床事象判定委員会
GCP=医薬品の臨床試験の実施の基準
GPHZ試験(SURMOUNT-J) 試験概要5,9)
試験デザイン |
第3相、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験 |
対象注1) |
BMIが27 kg/m2以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害*を有する又はBMIが35 kg/m2以上で1つ以上の肥満に関連する健康障害*を有する肥満症患者225例(GCP違反が認められた実施医療機関で無作為割付された42例を除く)。なお、糖尿病患者は除外された。
* 組み入れ基準では、耐糖能異常(空腹時血糖110~125 mg/dL又は75 g経口ブドウ糖負荷試験の血糖2時間値140~199 mg/dL)、脂質異常症(空腹時トリグリセリド150 mg/dL以上)又は非アルコール性脂肪性肝疾患(肝臓脂肪含有率5%以上)とした。 |
方法 |
チルゼパチド10 mg、15 mg又はプラセボを週1回72週間皮下投与した。チルゼパチドはいずれの投与群でも最初の4週間は初回投与量の2.5 mgで週1回投与し、その後割り付けられた用量に到達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ漸増した。用量漸増期間は最長20週であった。 体重管理のための低カロリー食及び運動量の増加を併せて実施した。 |
GPHK試験(SURMOUNT-1) 試験概要10)
試験デザイン |
第3相、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験 |
対象注1) |
BMIが27 kg/m2以上で高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸又は心血管疾患のいずれかを有する治験参加者もしくはBMIが30 kg/m2以上の治験参加者2517例(日本人102例)(GCP違反が認められた実施医療機関で無作為割付された22 例を除く)。なお、糖尿病患者は除外された。 |
方法注2) |
チルゼパチド5 mg、10 mg、15 mg又はプラセボを週1回72週間皮下投与した。チルゼパチドはいずれの投与群でも最初の4週間は初回投与量の2.5 mgで週1回投与し、その後割り付けられた用量に到達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ漸増した。用量漸増期間は最長20週であった。 体重管理のための低カロリー食及び運動量の増加を併せて実施した。 |
GPHL試験(SURMOUNT-2) 試験概要11)
試験デザイン |
第3相、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験 |
対象注1) |
2型糖尿病を有するBMIが27.0 kg/m2以上の治験参加者912例(日本人41例)(GCP違反が認められた実施医療機関で無作為割付された26 例を除く) |
方法 |
チルゼパチド10 mg、15 mg又はプラセボを週1回72週間皮下投与した。チルゼパチドはいずれの投与群でも最初の4週間は初回投与量の2.5 mgで週1回投与し、その後割り付けられた用量に到達するまで4週間ごとに2.5 mgずつ漸増した。用量漸増期間は最長20週であった。 体重管理のための低カロリー食及び運動量の増加を併せて実施した。 |
注1)チルゼパチドの承認された効能又は効果は「肥満症」である。ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27 kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35 kg/m2以上
注2)チルゼパチドの承認された用法及び用量・用法及び用量に関連する注意は以下のとおりです。
6. 用法及び用量
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5 mgから開始し、4週間の間隔で2.5 mgずつ増量し、週1回10 mgを皮下注射する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5 mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5 mgずつ週1回15 mgまで増量できる。
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)
7.1本剤の用量調節に際しては、以下の点に留意すること。
・患者の体重減少の程度や本剤に対する忍容性に応じて、週1回5 mgで治療を継続することも考慮すること。
最終更新日: March 2025
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